大和証券の投信売れ筋ランキングの2025年2月は、前月同様に「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」がトップ、第2位に「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」になった。このトップ2は2024年12月以来3カ月連続。第3位に前月のトップ10圏外から「ダイワ・ノーロード 日経225ファンド」がジャンプアップした。また、「ダイワ・ブルベア・ファンド6 ブル3倍日本株ポートフォリオ6」が第9位に、「ダイワ金融新時代ファンド」が第10位にランクインするなど国内株ファンド3本がトップ10圏外からトップ10に入った。トップ10から落ちたのは、「ダイワ・アンビット・インド小型株ファンド」、「半導体関連 世界株式戦略ファンド 愛称:半導体革命」、「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」の3本だった。
◆「米国成長株投信」の効率的な活用法は?
2024年12月から売れ筋トップの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」は、アライアンス・バーンスタインが運用する人気ファンド「米国成長株投信」の中で、NISA「成長投資枠」の対象になっている。最も残高が大きな「Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」がNISAの対象外であることとの大きな違いになっている。
「Bコース」も「Dコース」も同じマザーファンドに投資するため運用成績そのものは変わらない。分配金も含めたトータルリターン(分配金再投資の基準価額)で比較すると運用成績は同じなのだが、年2回決算で分配金を抑えている「Bコース」と、運用成果については極力分配金として払い出す「Dコース」では運用期間が長くなるほど基準価額の水準が違ってくる。たとえば、「Dコース」が設定された2014年9月16日を1万円として2025年3月7日までに「Dコース」は1万口当たり合計1万9000円の分配金(課税前)を払い出し、基準価額は1万284円になっている。基準価額の推移はおおむね1万円近辺で横ばいだ。
これに対し、「Bコース」は、分配金の合計額は3840円だが、基準価額は4万7832円になっている。単純に基準価額と分配金総額を加算して比較すると「Dコース」が2万9284円に対し、「Bコース」は5万1672円になる。資産の成長のためには、分配金を払い出さずに再投資をして運用を続ける方が大きな収益につながることの格好の見本になっている。ちなみに、毎月決算型の「Dコース」はNISAの対象外であるため、毎月払い出される分配金には20%のキャピタルゲイン税が課されるため、1万9000円分の分配金は、手取りでは1万5200円となっており、NISA対象である「Bコース」との収益格差は一段と広がる。
一般的には「Dコース」の方の人気が高く、純資産残高は3兆950億円を超える。「Bコース」の純資産残高は運用開始が2006年5月と「Dコース」よりも約8年も長いにもかかわらず1兆5300億円程度と、おおむね「Dコース」の半分だ。「Dコース」は、ただ保有しているだけで、1万口(1万円)あたり月間200円~300円、年間で3500円程度も分配金が出る。「Dコース」に300万円も投資していれば、月間で6万円程度(税抜き5万円程度)の分配金を受け取れる計算だ。現在のように基準価額が横ばいの状態をキープできれば、資産残高を減らすことなく毎月の生活費にゆとりが持てることになる。
収益性を考えれば「Bコース」を選択して定期的に一定額を解約する方が、NISA口座を使って収益非課税のメリットも受けつつ生活費の足しが得られるのだが、そのような手続きをする人は少数派になっている。とはいえ、大和証券では「Bコース」の方が売れ筋ランキングで上位に位置しているところをみると、長期投資志向が強く、かつ、効率的な解約・引き出しを使っている投資家も多いということだろう。