各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、福岡銀行のデータをもとに解説。
福岡銀行の売れ筋(店頭販売件数ランキング)の2025年11月は、前月第2位だった「三井住友・配当フォーカスオープン」(設定は三井住友DSアセットマネジメント)がトップに返り咲いた。前月トップだった「三菱UFJ純金ファンド(愛称:ファインゴールド)」(三菱UFJアセットマネジメント)は第3位に後退し、前月第4位だった「netWIN GSテクノロジー株式ファンド B(H無)」(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント)が第2位に上がった。また、「One 国内株オープン(愛称:自由演技)」(アセットマネジメントOne)が前月第6位から第5位に、「ストックインデックスファンド225」(大和アセットマネジメント)が前月第9位から第8位に上がるなど、国内株ファンドの上昇が目立った。
一方、前月第3位だった「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Bコース(為替ヘッジなし)」(アライアンス・バーンスタイン)は第4位に後退し、前月は第5位だった「米国NASDAQオープン Bコース」(野村アセットマネジメント)は第6位に下がるなど、米国株ファンドは順位を落としている。
国内株「配当フォーカスオープン」を評価
福岡銀行の売れ筋トップになった「三井住友・配当フォーカスオープン」は9月にトップだったが、10月はトップの座を「三菱UFJ純金ファンド」に取られていた。「三井住友・配当フォーカスオープン」は、企業の配当性向や予想配当利回りに着目し、組入候補銘柄群を抽出している。11月末時点で「TOPIX」の予想配当利回り2.2%に対して同ファンドでは3.6%を実現している。日経平均株価が5万円台に達して高値警戒感も台頭する中で「配当利回り」が株価下落の抑止力として期待される同ファンドへの注目度が高まっている。11月の基準価額上昇率は6.5%でTOPIX(東証株価指数)の1.4%上昇、日経平均株価の4.12%下落を上回った。組み入れ上位銘柄にメガバンク3行がそろって入っており、銀行株は金利上昇のメリットを受ける業態としても注目される。「三菱UFJ純金ファンド」の月間上昇率は4.6%にとどまったため、同ファンドの優位性が目立っている。
11月の市場は、日経平均株価が下落し、米国の「S&P500」は0.13%高と横ばい、英「FTSE100」も0.03%高で横ばい、中国「上海総合指数」は1.67%安、インド「sensex30」は2.11%高と、インドはやや上昇したものの、その他の主要市場は横ばい圏での推移となった。4月の「トランプ関税ショック」の急落から10月までは急速な戻り相場となったが、その動きが一巡して高値でもみ合った期間といえそうだ。それだけに年末年始を前にして「次の展開」を模索する動きが強まっている。
福岡銀行の売れ筋では、これからは国内株が上昇するという見方が強いようだが、2024年まで群を抜いて上昇した米国テクノロジー大型株が息を吹き返すような展開も捨てがたい。11月のランキングで「netWIN GSテクノロジー株式ファンド B(H無)」が第2位に上がったのは、ハイテク大手が一時の価格調整を終えて再び上昇することを期待した動きだろう。
国内株式については、人気トップが「三井住友・配当フォーカスオープン」であるところからみると、福岡銀行の投資家は「保険を掛けながら期待する」という段階のようだ。将来の動きを正確に予測することなど誰にもできないことなので、国内株と米国株に分散投資する、あるいは、全世界株式に投資するファンドを選ぶなど、年末を控えて分散投資の動きが強まると考えられる。

