各販売会社が公開するデータをもとに、編集部独自の分析で投資信託の売れ筋を考察する連載。今回は、三井住友銀行のデータをもとに解説。

三井住友銀行の投信売れ筋ランキングの2025年11月のトップ3は前月と同じ「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」(インベスコ・アセット・マネジメント)、「三井住友・225オープン」、「SMBC円資産ファンド」(ともに三井住友DSアセットマネジメント)だった。「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」は6カ月連続でトップの位置を堅持している。前月第5位だった「SMBC・DCインデックスファンド(S&P500)」(三井住友DSアセットマネジメント)が第4位に上がり、前月第4位だった「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」(ピクテ・ジャパン)は第5位に後退した。また、トップ10圏外から「GSグローバル・パーシャルヘッジ社債ファンド」(ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント)が第9位にランクインした。

 

「S&P500」が上昇の一方、ランクインした「社債」

三井住友銀行の売れ筋ランキングでトップ3に変化がなかったように、投資家の基本的な投資スタンスに変化はないと考えられる。「S&P500」に連動するインデックスファンドのランキング順位が上がったのも、これまでのように米国の大型テクノロジー株が主導する相場が継続するという期待の高さからだろう。

ただ、微妙な変化ながら、株式ファンドよりも高いリスクを取る純金(ゴールド)を主たる投資対象にした「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」が順位を落としたり、トップ10圏外から債券(社債)を主たる投資対象にしたファンドがランクインしているなど、投資リスクに対してやや慎重なスタンスが台頭してきているように見える。

そもそも売れ筋のトップ3も比較的リスクを抑えたファンドといえる。トップの「インベスコ 世界厳選株式オープン<為替ヘッジなし>(毎月決算型)<世界のベスト>」は世界の株式市場から業績が安定的に成長する銘柄を厳選し、かつ、割安な水準で投資して長期に保有することをめざすファンドだ。高いリターンを狙うばかりでなく、投資リスクに配慮して分散投資に徹する姿勢も持っている。第2位の「三井住友・225オープン」は比較的リスクが高いファンドといえるが、米国株や全世界株(オール・カントリー)など海外の株式に投資して為替リスクを取っているファンドに比べると為替のリスクがないという安心感はある。

そして、第3位の「SMBC円資産ファンド」は国内債券に資産の50%を投資し、国内高配当株式に20%程度を配分することで、債券に株式の配当利回りと株価値上がりのメリットを少し取り入れようという発想で設計されている。メインは利回りが見えている国内債券で預金よりも高い利回りを確保しつつ、プラスαの収益を株式で稼いで上乗せしようというものだ。投資リスクには慎重な商品設計になっている。

異色なのが第5位の「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」で、配当などのインカム収益がなく価格変動のみでリターンを稼ぐリスクの高い商品で、為替リスクまで負っている。ただ、証券会社などの売れ筋ランキングではトップやトップ3にランキングされることも珍しくないが、三井住友銀行ではせいぜい第4位どまりで、今月はランクを落としている。それ以外にも、たとえば「iFreeNEXT FANG+インデックス」や「netWIN GSテクノロジー株式ファンド」などこれまで市場をけん引してきた米国大型テクノロジー株式に特化したような成長株ファンドは三井住友銀行のトップ10には入っていない。