投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、野村證券。
野村證券の投信(ファンド)人気ランキング2026年2月のトップは前月と同様に「野村インデックスファンド・日経225(愛称:Funds-i 日経225)」だった。同ファンドは2025年10月以来5カ月連続でトップをキープしている。前月に第2位だった「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」が第3位に後退し、前月第3位だった「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース(毎月決算・予想分配金提示型・為替ヘッジなし)」が第2位に上がった。また、前月第8位だった「eMAXIS 日経225インデックス」が第5位に浮上。トップ10圏外から「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」が第10位にランクインした。一方、前月第6位だった「ブラックロック・ゴールド・メタル・オープンBコース」が第7位に後退し、第7位だった「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」は第9位に下がった。前月第10位だった「のむラップ・ファンド(積極型)」はトップ10圏外に落ちた。
※野村證券サイト「投資信託(ファンド)人気ランキング」の「買付金額トップ10」に基づいて編集部作成。期間:2026年2月1日~2月24日。
https://advance.quote.nomura.co.jp/meigara/nomura2/frankht1.asp
高リターンファンドに目を奪われて
野村證券の2月の売れ筋トップ10から野村アセットマネジメントが運用する「のむラップ・ファンド」が消えた。同ファンドは、国内株式・外国株式・国内外債券・世界REITなどを投資対象とし、1本で国際分散投資が完結するファンドとして資産形成のコアに位置づけられるファンドの1つだ。野村證券の売れ筋には必ずといっていいほどトップ10にランキングされる定番ファンドであり、過去2年の間にはトップ10のうち3本を「のむラップ・ファンド」が占めることもある人気ファンドだった。
「のむラップ・ファンド」は、リスク水準の異なる5つのコース(保守型・やや保守型・普通型・やや積極型・積極型)があり、常に意図するリスク水準を保(たも)てるように資産配分比率を細かく調整(リバランス)している。その結果として2010年3月の設定来、2026年1月末までの平均年率リターンと平均年率リスクの水準は、「保守型」が3.7%と5.5%、「普通型」が7.3%と9.8%、「積極型」が10.0%と12.8%という水準になっている。安定的にバランスの取れた運用実績を残してきている。「積極型」の平均年率リターンが10.0%であるように、リスク管理を徹底して穏やかな資産成長を狙えるファンド群になっていた。投資初心者も含めて多くの投資家が活用できるファンドとして人気があった。
直近では「積極型」は、2026年2月末時点の過去1年間のリターンが22.50%と過去平均を大きく上回る好調な成績になっていた。それでもトップ10から姿を消したのは、2月までの動きで「のむラップ・ファンド」が目指している「リスク管理された安定的な成長」というパフォーマンスのイメージが投資家のニーズから外れてしまうほどに高パフォーマンスをたたき出すファンドが多くなっていたためだと考えられる。
たとえば、ランキングトップの「Funds-i 日経225」(設定は野村アセット)は、2月末時点で過去1年間のリターンが60.64%だった。第2位の「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース」(フィデリティ投信)は23.39%だったが、第3位の「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」(野村アセット)は93.46%だ。高いリターンを稼ぎ出すファンドが次々に出てきたことによって「リスク管理をしっかり行って2ケタの成長をめざす」という趣旨の魅力がかすんでしまったようだ。
このようにみてみると、2月の販売金額上位ランキングは、過度にリスクを取り過ぎているようにみえる。ピクテ・ジャパンが運用する「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」の1年リターンは84.40%(26年2月末時点)、ブラックロック・ジャパンが運用する「ブラックロック・ゴールド・メタル・オープンBコース」は同194.22%、東京海上アセットマネジメントの「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」は同65.43%だ。年間で60%を超えるリターンを残すファンドに目を奪われて、リスク管理が二の次になっていたのかもしれない。
もちろん、フィデリティ投信の「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンドDコース」や「フィデリティ・米国株式ファンドDコース(分配重視型・為替ヘッジなし)」やアライアンス・バーンスタインの「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」のようなアクティブファンドは、インデックスファンドと比較するとリスク管理の意識がある選択とはいえるのだが、積極的に株式に投資するという点では、積極的にリスクをとっているファンドに属している。
国内投資家が2月28日のアメリカとイスラエルによるイラン空爆を知っているはずもないが、得てして、投資家のリスク管理意識が薄れてリターンにばかり目が行くようになってしまったところが「天井」というようなことは起こるものだ。3月に入ってからの株価の急落と市場の混乱によって投資家の意識は大きく変わっていることと考えられる。それがランキングにどのような変化になって現れるのか注目したい。
執筆/ライター・記者 徳永 浩

