プライベートクレジットとサブプライムの比較
プライベートクレジットを巡っては足元では過度な懸念はやや落ち着きつつあるが、「サブプライムの再来」との見方も広がった。
海外では主に個人投資家向けの非上場ビジネス・デベロップメント・カンパニー(BDC※)を中心に解約請求が相次ぎ、加えて、銀行がプライベートクレジットファンド向け融資の条件を引き締める動きも報じられており、市場の警戒感が改めて高まっている。
筆者はサブプライム危機当時、ニューヨークで証券化ビジネスに携わっていた。その立場から見ると、現在のプライベートクレジット市場には確かに共通点もあるが、同時に構造的に重要な違いも存在する。
本稿では、その共通点と違いを整理したい。
※ビジネス・デベロップメント・カンパニー(BDC)…中小企業へ融資・投資を行う投資会社
共通点:信用供与プロセスの「分離」と過熱
まず共通点として挙げられるのは、信用供与プロセスのあり方である。
サブプライム期には、住宅ローンのオリジネーター※と最終的なリスクの保有者が分離していた。同様に、現在のプライベートクレジットにおいても、融資を実行・審査する主体と、最終的にリスクを負担する投資家が分離している構造が見られる。
このような構造の下では、クレジットサイクルの過熱局面において競争が激化すると、融資基準が緩和されやすい。
実際、近年は低金利環境の下でプライベートクレジット市場が急拡大し、ソフトウェア企業向け融資などを中心に信用力への懸念が指摘されている。利払い繰り延べ(PIK)の増加や上場BDCの取引価格の下落なども、こうしたサイクルの変化を反映したものと考えられる。
※オリジネーター…融資の審査・実行を行う主体
