投資信託を選ぶ際、各販売会社が自社のサイトで公開している「売れ筋ランキング」を確認する個人投資家は多い。そのランキングを定点観測して、トレンドを追う連載。今回は、SMBC日興証券。

SMBC日興証券の投信売れ筋ランキングの2026年2月のトップは、前月同様に「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」だった。第2位には「日経225ノーロードオープン」、第3位には「フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)」が上がった。また、第5位に「ニュートン・パワー・イノベーション・ファンド(為替ヘッジなし)」、第6位には「SMT 日経225インデックス・オープン」が上がり、第9位に「ドナルド・スミス グローバル・ディープバリュー戦略株式ファンド」が上がった。2月のランキング上位は「国内株(日本株)」と「バリュー(割安株)」の要素を持つファンドが評価を高めている。

 

※SMBC日興証券サイトの投資信託ランキング「買付金額(総合コース)」に基づいて編集部作成。期間:2026年2月2日~2月27日。
https://fund2.smbcnikko.co.jp/smbc_nikko_hp/fund/main/index.aspx?F=rnk_sales_gnr

国内株ファンドで「配当成長」を選択

SMBC日興証券の売れ筋ランキングで2月に第3位になったフィデリティ投信の「フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)」は、企業の今後の配当成長(増配)に注目するファンドだ。2月のランキングの順位を上げた「国内株」と「バリュー」という要素を両方満たす象徴的なファンドといえる。トップ2の「ピクテ・ゴールド(為替ヘッジなし)」(設定はピクテ・ジャパン)と「日経225ノーロードオープン」(同アセットマネジメントOne)は、それぞれ金価格と国内株価指数「日経平均株価」に連動して動くファンドであり、2026年2月までに金価格や「日経平均株価」が大きく上昇し、その動きが続くと期待する評価といえる。それに対して「フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)」は国内株の中でも「配当」に着目して投資銘柄を選択するという意図を明確にしたファンドだ。

「配当」に着目するという発想の中には、これまで上昇を続けてきた日本株に対する「株価調整(株価下落)」の警戒感が見て取れる。「日経225ノーロードオープン」は2026年1月末に過去1年間のリターンが36.3%、2月末には過去1年間のリターンが60.33%と2月に一段と株価上昇を加速させた。この株価上昇のスピードアップによって「行き過ぎ」の懸念を持たせたのではないだろうか。

株式の「配当」に着目する投資は、投資対象として「配当利回りが高い」ことを重視するため、配当水準に対して株価が割安な銘柄群を選んでいる。そして、「配当利回り」は株価の下落時に株価下落の行き過ぎを見極める指標として使われる。「配当」に着目したファンドを選ぶ投資家は、株価上昇による積極的なリターンよりも、配当で着実に収益を積み増したいという安定を重視する考えが背景にあるといえるだろう。株価の値上がり益を狙うのであれば「日経225ノーロードオープン」への投資で十分であり、「フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)」をあえて選ぶ必要はない。「フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)」が売れ筋ランクを上げたのには、「配当利回りによって下げ止まる」という株価下落への備えが必要だという思いがくみ取れる。

もっとも、「フィデリティ・日本配当成長株・ファンド(分配重視型)」は単に配当利回りが高いだけでなく、配当の増額が期待できる企業を選んで投資するファンドであるため、投資先の成長も重要な投資ポイントになっている。守りつつも攻めも意識したファンドといえる。そのような性格を持ったファンドが人気3番目に選ばれいるのは、市場の下落を警戒しながらも一段の成長にも期待を残しているということなのだろう。