楽天証券の投信売れ筋ランキングの2025年2月のトップは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」で第2位が「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)、第3位が「楽天・プラス・S&P500インデックス・ファンド」となり、トップ3は変わらなかった。第4位には「楽天 日本株4.3倍ブル」が入り、前月の第8位からジャンプアップした。反対に前月に第4位だった「iFreeNEXT FANG+インデックス」は第7位に後退した。「楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)」も前月の第7位から第8位に順位を落とした。

(出所)公表データに基づいて編集部作成

◆米株インデックスそれぞれの事情

2月に米国株式が下落したことによって米国株式を投資対象としたインデックスファンドの中でも、その対象とする株式の性格の違いによってファンドの人気に優劣が出始めている。これは、「米国株式であれば何でも大丈夫」というようなこれまでの評価から、「米国株式の中でも割高な銘柄、魅力に乏しい銘柄はある」という客観的な評価に見方が変わりつつあるということだろう。とはいえ、今のところ米国市場全体を広くカバーするインデックスファンドの人気は変わらない。米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしている「S&P500」に連動するインデックスファンドや米国株式市場の時価総額のほぼ100%をカバーする「全米株式インデックス」などの人気ランキング順位は変わらない。

ランキングに変動があったのは、米国株式の中で代表的な大型ハイテク株に集中投資する「iFreeNEXT FANG+インデックス」、また、高配当株に投資する「楽天・高配当株式・米国ファンド(年4回決算型)」などが人気後退している。「iFreeNEXT FANG+インデックス」は2月に月間で基準価額が11.10%下落した。これは、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」のマイナス6.34%、「楽天・全米株式インデックス・ファンド」のマイナス6.87%を大きく上回る下落率だった。米国経済の先行きに不透明感が強まる中で、これまで米国株高をけん引してきた大型ハイテク株に「行き過ぎ(割高)」の懸念が出てきているのが要因と考えられる。

一方、「楽天・高配当株式・米国ファンド(年4回決算型)」は2月の月間で基準価額の下落率は2.59%にとどまり、「S&P500」などよりも小さい。それでも人気に陰りが出ているのは、2024年11月に基準価額がピークをつけてから3カ月連続で緩やかに低下して下値を切り下げている動きを嫌気したものかもしれない。3カ月連続の下げで先行きに対する期待がしぼんでしまったのだろう。「S&P500」は2月こそ下落したものの1月には史上最高値を更新している。「S&P500」人気が衰えを知らないのは、多少の下落局面があっても切り返す力強さがあるためと考えられる。