◆利益は大きいけれど…レバレッジファンドのリスクとは

2月の国内株式市場は低迷した。「日経平均株価」は月初に2.66%下落し、その後も一度として1月末株価を上回ることなく推移した。そして、月末には一段安となり1月末比マイナス6.11%で終わった。結果的にレバレッジ(テコの効果)を使って日々の値動きを現物市場の4.3倍の比率になるように動く「楽天 日本株4.3倍ブル」の基準価額は1月末比で2月末にはマイナス26.00%になってしまった。同ファンドに対する資金流入が2月末に集中していれば3月の月初(3月3日)の反発で基準価額が前日比8.74%上昇した動きで利益化できたことになるが、翌4日には3日の上昇分をほぼ打ち消すほどに株価が下落している。1日の遅れで利益の大半を吐き出してしまうことになった。

「4.3倍ブル」はレバレッジ型の株式ファンドの中で、もっとも大きな倍率で価格が動くファンドになっている。それだけに日々の動きが大きくなると、それに伴って基準価額の値動きも大きく動くことになる。たとえば、2月の値動きだけをみると、基準価額は3月3日の株価上昇によって8.74%上昇したとはいえ、その水準で利益が出たのは2月の1カ月間に同ファンドに投資した投資家のうち2月28日に購入した投資家のみになる。2月3日から27日までに購入したすべての投資家が3月3日の反発だけでは利益を確保できていない。しかも、3月4日には下落したため、2月に同ファンドを購入した投資家は損失を拡大させたことになる。レバレッジ型の価格変動の大きさは、短期間で売買差益を生み出すようにみえるが、実は、短期で利益を稼ぎ出すことは決して簡単なことではない。

執筆/ライター・記者 徳永 浩