三菱アセット・ブレインズが発表する「投信マーケット概況」で「エマージング株式型(新興国株式型)」に分類されるファンドの2025年1月の月次資金流入額トップは1月末に新規設定された「ダイワ・アンビット・インド小型株ファンド」になった。また、第2位は前月同様に「iTrustインド株式」、第3位が「SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド」、第4位に「楽天・インド株Nifty50インデックス・ファンド」などインド株ファンドが上位を独占した。ただ、前月トップの「ダイワ・ダイナミック・インド株ファンド」や第6位だった「HCBS インド小型株式オープン」、第11位だった「HSBC インドテック株式インデックスファンド」などがトップ15から姿を消すなど、同じインド株に投資するファンドでも人気銘柄の入れ替わりが進んでいる。
◆インド株ファンドに「小型株」の選択肢
1月の資金流入はトップ15のうちに11銘柄をインド株ファンドが占めるなど、前月(15のうち12がインド株ファンド)に続いてインド株に投資するファンドが人気を集めている。インド株インデックスは、2024年12月を直近のピークにして下落し、たとえば、「楽天・インド株Nifty50インデックス」は12月20日の基準価額1万675円をピークにして、2025年2月21日には9481円になっている。2カ月間で11%強の下落率だ。それでもインド株人気が衰えないのは、インド経済に対する高い成長への期待と、インド以外に魅力的な投資対象が見つけにくいという事情があるからだろう。
そのインド株の中で、新しい投資対象として注目が高まっているのが「小型株」だ。1月末の新規設定で約265億円の設定額になった「ダイワ・アンビット・インド小型株ファンド」は、インドの小型株に特化する運用を行う。実質的な運用を行うアンビット・インベストメント・アドバイザーズ・プライベート・リミテッドは、インド国内に複数の運用拠点を設けてインド全土をカバーしているインドに特化した金融グループの運用会社だ。現地の充実した調査体制で将来有望な小型企業を発掘することにたけている。
また、同じく1月末に設定された「インド中小型成長株式ファンド」も小型株に焦点を当てた運用を行う。銘柄の調査はインドの民間銀行HDFC銀行傘下の資産運用会社であるHDFCアセット・マネジメント・カンパニー・リミテッドが行い、ファンドのリスク管理や最終ポートフォリオの構築はUBSアセット・マネジメント(シンガポール)が行うという運用体制をつくっている。
インドの株式市場は、上場銘柄数約5000のうち、大型株が100銘柄、中型株が150銘柄で、残る4800銘柄程度が小型株だ。圧倒的に小型株の数は多く、十分な調査や評価が行われていない。それだけ、丁寧に調査していけば、魅力的な企業が割安に放置されていることに行き当たるチャンスも多い。小型株に着目したインド株ファンドの中から、大きな成績をたたき出すファンドが出てくることを期待したい。