野村證券の投信売れ筋ランキングの2025年2月は、トップに前月の第3位から「野村インデックスファンド・日経225(愛称:Funds-i日経225)」がジャンプアップした。第2位は前月同様に「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」で変わらず、前月トップだった「eMAXIS S&P500インデックス」は第3位に後退した。前月は第4位だった「野村世界業種別投資シリーズ(世界半導体株投資)」が第6位に後退するなど、これまでのけん引役であった「S&P500」と「半導体」の人気が陰った。

一方で「フィデリティ・米国株式ファンドDコース(分配重視型・為替ヘッジなし)」が前月の第7位から第4位に浮上し、「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」が第8位から第7位にランクアップするなど、新しいスター候補が順位を上げている。

 

◆日米インデックスファンドの逆転劇は定着するか?

「野村インデックスファンド・日経225(愛称:Funds-i日経225)」が売れ筋ランキングのトップになるのは2024年10月以来4カ月ぶりのことだ。その4カ月間、「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」が2度トップになり、前月は「eMAXIS S&P500インデックス」がトップだった。ただ、それまでも、8月以降3カ月連続で「野村インデックスファンド・日経225(愛称:Funds-i日経225)」がトップになるなど、同ファンドは売れ筋上位の銘柄だった。それだけ2024年には国内株価の上場に期待感が強く、7月に4万2000円超の史上最高値に進んだ時には一気に一段高へ進む期待が膨らんだ。

ところが、日銀の金融政策に対する市場の不信感から8月5日の急落があり、国内株の先高観は急速にしぼんでしまった。同ファンドは10月にランキングのトップに立ったのを最後に米国株ファンドにトップの座を譲った。昨年の年末に向けては国内株に復調の気配なしと市場から見放されてしまったようだった。それが再びトップに返り咲いたのは、米国株に対する先行きの不透明感に加えて、国内株が一段安に売られたことによる。

2月の米国株は「S&P500」がマイナス1.42%と反落。米国株は2024年10月から一進一退を繰り返している。これに対し、国内の「日経225」はマイナス6.11%と大きく売られた。もともと米国株に対して国内株は割安と言われてきていただけに、その米国株以上に大きく下落した国内株に対して「売られ過ぎ」と判断した投資家も少なくなかっただろう。

◆根強い人気の「宇宙関連株ファンド」

「東京海上・宇宙関連株式ファンド(為替ヘッジなし)」がランクアップして売れ筋の第7位にまで上がってきた。同ファンドでは、「ロケット等の輸送機や衛星の製造」「打ち上げサービス」、「衛星や地上設備の運営」「衛星データを活用した通信・情報サービス」「関連ソフトウエア」「その他周辺ビジネス等の提供を行う企業」を宇宙関連企業とし、宇宙関連ビジネスがすそ野を広げて成長することを見越して、新規ビジネスも含めて幅広く関連企業の成長を取り込むことを目指している。実質的な運用は、米カリフォルニア州にあるヴォヤ・インベストメント・マネジメント・カンパニー・エルエルシーが行っている。

同ファンドの過去1年間のトータルリターンは、1月末時点で44.83%。同ファンドが2月に公表した月報では、「宇宙関連事業に対する世界の需要は底堅く推移しており、打ち上げ費用の低下や⼈⼯衛星の小型化、通信データ量の拡⼤、国家の安全や防衛の必要性の増⼤などが、新規参⼊企業だけではなく伝統的な宇宙・防衛企業にもビジネスモデルと収益機会を提供」としている。さらに、「今後数年間にわたり、宇宙関連市場は技術⾰新が加速するなか、さまざまな産業、地域、ビジネスにまたがってさらに拡⼤していくと予想」と中長期的な成長期待が強いことを強調している。

また、トランプ大統領は3月4日に連邦議会で今後の施政方針を示す演説を行い、その中で、「火星に星条旗を立て、さらにその先に行く」と宇宙開発に積極的な姿勢を示した。このトランプ政権の方針からも、今後、宇宙産業には追い風となる政策支援が期待される。