2030年以降もタワマン人気は続く?

他方で、兵庫県・神戸市は2020年に市中心部におけるタワマン建設を規制し、大方の流れに逆行する動きを見せています。中心部にはタワマンよりもオフィスや商業施設を設けることを目指し、近郊のベッドタウンにテコ入れすることで、市全体にバランスよく人を呼び込もうという狙いがあるもよう。このように、生き残りをかけた自治体の都市計画もさまざまです。

地方都市のタワマンは、そのエリアの中の高額物件であることは間違いありませんが、東京などの一等地物件と比較すると、かなり手の届きやすい価格設定になっています。2025年時点で、都心にある新築タワマンの販売価格は1億円をはるかに超えています。タワマンは管理費や修繕積立金といったランニングコストも、普通のマンションの1.3〜1.5倍程度高くつくので、かなり世帯年収が高くなければ住み続けるのが難しいものです。

これに対し、地方都市のタワマンは高層部を別にすると、1億円未満で買える住戸もたくさんあります。もちろん、ランニングコストは高額なので、地元でも裕福な層がターゲットになりますが、極端な富裕層でなくとも、駅近・新築のタワマンが買えるのは魅力的です。

都心部では、一等地のタワマンに住んでいることが一種のステータスになっていますが、それは地方都市でも変わりません。2030年以降もタワマン人気は続き、タワマンならば不動産の価値が毀損しづらいという状況が続いていくでしょう。

2030年の不動産

 

著者名 長嶋 修

発行元    日経BP 日本経済新聞出版

価格 990円(税込)