近年、都市部の不動産価格は大きく上昇しています。一方で、日本各地で空き家の増加が社会問題にもなっています。
少子高齢化、金利上昇、在留外国人の急増など、大きな変化のなか、不動産業界は過渡期を迎えているようです。不動産コンサルタントの長嶋修氏は「不動産に関する〝常識〞が変わりつつある」といいます。
多くの人にとって不動産は、一生に一度の大きな買い物です。後悔しないためにも、不動産の新常識を長嶋氏に解説してもらいます。(全3回の1回目)
※本稿は、長嶋修著『2030年の不動産』(日経プレミアシリーズ)より、一部を抜粋・再編集したものです。
10人に1人が外国人に
投資家だけではなく、在留外国人の増加も加速しています。2023年末の統計によると、日本の在留外国人数は340万人を超え、過去最高を更新。過去10年というスパンで見ると100万人以上の増加です。インバウンドの増加により、街中で外国人の姿を見る機会が増えて久しいですが、増えているのは観光客ばかりではないのです。
加速度的な増加の背景には、外国人材を獲得するための制度が整備されたことなどが関係していますが、今後も労働力不足の解消を目指す政府の施策により、外国人の移住は増え続けるでしょう。2067年頃には日本の人口の約1割が外国人になるという推計も出されていますが、すでに政府の想定を上回るペースで増加が続いているため、1割に到達するタイミングはこの推計より早まりそうです。
在留外国人の国籍でもっとも多いのは中国で、現状、外国人の4人に1人は中国人です。その多くは東京、あるいはその近郊エリアに在住しています。口コミで中国人のコミュニティが築かれている埼玉県・川口市の芝園団地のように、住民全体に占める中国人の比率が非常に高いマンション・団地も、あちらこちらに増えつつあります。