存在感を強める中国人受験生

湾岸エリアの豊洲も、前々から中国人に人気の街です。このところ中国経済は悪化が懸念され、富裕層の国外脱出も顕著になっていますが、その脱出先の一つとして日本が選択されているのです。

都心3区(千代田区・港区・中央区)・5区(千代田区・港区・中央区・渋谷区・新宿区)のタワマンに住む中国人は富裕層か準富裕層レベルであり、彼らはおしなべて教育熱心です。たとえば、メディアではしばしば日本の中学受験の過熱ぶりが話題になりますが、その中学受験の世界で年々存在感を強めているのが中国人受験生です。

このところ〝御三家〞と呼ばれる男女別学の名門校や、難関大学の付属校などには、中国人の生徒が増加。一学年に数十人という単位で中国人の生徒が在籍する学校もあるといいます。今後も中国人の移住者が流入し続ければ、少子化が進行しても受験戦争は熾烈を極め続けることになるかもしれません。そうなると、名門校に通学しやすい都市エリアの好立地物件は、引き続き中国人ファミリーからの引き合いが強くなるでしょう。

移民問題による欧米の大都市の荒廃などで、相対的に日本の都心部の魅力が高まっていることから、中国に限らず世界中から外国人の移住は増えそうです。

ちなみに、東京の新宿区では、住民全体に外国人の占める割合がすでに1割を超えており、街を歩くと外国人が非常に多いという印象を受けます。その新宿区では「多文化共生実態調査」として、外国人住民と日本人住民に定期的にアンケートをとっています。その中に、日本人住民に「近所に外国人が生活すること」についてどう思うかを問う項目があるのですが、「好ましい」という回答が「好ましくない」を大きく上回っており、人々が外国人との共生になじみつつあることがわかります。年齢が低いほど好ましいと感じる割合は高く、世代が変わった未来の日本では、外国人に対する心理的ハードルは大幅に低下しているかもしれません。

一方で、埼玉県・川口市ではクルド人などのトルコ系移民とのトラブルが続発。単一民族国家から外国人と共生する社会へと移り変わる過程は、そう平坦ではないでしょう。

●第2回は【駅近マンションは手が届かなくなる⁉ 立地の重要性がさらに高まるとプロが予測する“これだけの理由”】です。(3月21日に配信予定)

2030年の不動産

 

著者名 長嶋 修

発行元    日経BP 日本経済新聞出版

価格 990円(税込)