重要政策を決めるとあって、毎年注目される全国人民代表大会(全人代)
3月5日から中国の国会にあたる「全国人民代表大会(全人代)」が開かれました。会期は11日までの7日間です。全人代の様子は報道写真、映像などを通じて報じられていますが、実に壮観のひとことです。何しろ3000人弱の代表が一堂に会する大会ですから、そのスケール感は、さすが超大国である中国です。
ここから先はいくつかのメディアで報じられたことから、気になったものを取り上げてみたいと思います。
まず、3月7日のJBプレスで、ジャーナリストの近藤大介氏が書いた「東アジア『深層取材ノート』」によると、今回の全人代で審議される法案は、全人代の在り方や仕事内容を定めている「中華人民共和国全国人民代表及び地方各級人民代表大会代表法」の修正草案だけでした。
具体的には、同法第2条にある「全国人民代表大会と地方各級人民代表大会の代表は、人民の利益と意志を代表し、憲法と法律が付与する各級人民代表大会のか国項目の職権に基づき、国家権力に参加し、公使する」という記述を、「習近平新時代の中国の特色ある社会主義思想の指導を仰ぎ、堅忍不抜の中国の特色ある社会主義政治の発展の道を歩み、民主集中制の原則を遵守する」に修正するというものです。
これを近藤氏は、全人代が「国民の代表」から「習近平の部下」への大転換が行われたと解説しています。
近藤氏は、昨年の全人代でも同じようなことが行われたと指摘しています。昨年の全人代で唯一可決成立させた国務院組織法では、中央官庁である国務院が、習近平総書記を最高指導者とする党中央の下部組織に組み替えられたそうです。
そして今年は、国会にあたる全人代が習近平総書記の部下になったわけですから、習近平総書記は、国会と中央官庁を自分の手中に収めたことになります。今の中国は、ますます“習近平国”になりつつあるというところでしょうか。