個人消費を支える雇用も厳しい状況
では、機能不全に陥っている固定資本形成の代わりに、個人消費を盛り上げられるのでしょうか。
個人消費が盛り上がるためには、人々が食べることに不安を抱かないようにしなければなりません。つまり安定した雇用が必要です。では、中国の雇用はどうなっているのでしょうか。
この点については、どこまで正確な統計データかが不明ですが、2024年12月時点の中国の調査失業率は5.1%でした。ただ、問題は若年層都市部失業率で、16~24歳までを対象にした失業率は、2024年12月現在で15.7%にも達しています。
ちなみに日本で失業率が5.1%だったのは、リーマンショック直後の2009年から2010年にかけてのことでした。中国における失業率は、日本で言うところのリーマンショック直後の厳しい経済環境下と同じ水準ということになります。そこからすると、今の中国における雇用環境が、かなり厳しい状況にあることが推察できるでしょう。
それに加えて、中国にとって向かい風になるのがトランプ政権です。対中追加関税の発動によって、貿易黒字の3分の1を占める米国への輸出も期待できなくなっています。
こうした点から考えると、「5%前後」とした経済成長率が実現できるかどうか、いささか不透明であるといわざるを得ません。そして、中国国民の不満が噴出した時、一党独裁色を強めている習近平国家主席率いる中国共産党は、どこにガス抜きの先を求めるのか。台中関係はかなりシビアな状況になりそうです。