中国国家統計局が7月15日に発表した、2024年上半期(1~6月)の実質GDP成長率は、前年同期比5.0%でした。政府目標は5.0%前後とされているので、一応はそれを死守したことになりますが、2024年第1四半期(1~3月)の前年同期比5.3%に対して、第2四半期は4.7%に減速しています。

年間を通じて、政府目標である5.0%成長を維持できるかどうかは、少し微妙です。野村総合研究所のレポート「世界経済の中期見通し:中国経済が世界経済の重石に」(4月25日 木内登英氏)によれば、2024年の実質GDP成長率は4%台まで低下することを見込んでいます。

振り返ってみると、多少の上下はあるものの、中国経済が10%台の高成長を維持していたのは、2010年くらいまでのことです。

それ以降の実質GDP成長率は10%に乗せることなく、徐々に低下傾向をたどっていきました。2021年は8.45%と高めの数字が出ていますが、これはコロナ禍の反動で、2020年の実質GDP成長率は2.24%まで落ち込んでいました。それと同様に、2023年は5.24%でしたが、これも2022年に行われたゼロコロナ政策によって経済活動が大きく制限され、同年の実質GDP成長率が2.99%まで落ち込んだことの反動といっても良いでしょう。

そして2024年は、コロナ禍による経済活動の制限が一切、2023年中には行われていなかったので、反動高には期待できません。そのため、2024年下半期には中国経済を巡るさまざまな問題点が生じ、経済成長率は政府目標である5.0%を下回ると見られています。ちなみにIMFによる2024年4月時点の推計値によると、2024年の実質GDP成長率は、4.6%とされています。

経済がスローダウンした時、それが景気のサイクルによるものであれば、時間の経過と共に回復へと向かいます。

しかし、問題なのは構造的な変化によってスローダウンしている時です。そして中国の場合、今起こっている経済活動のスローダウンは、まさに後者によるものと考えられます。ここが最も懸念されるところです。