ポイント2 「投資者が期待するポイント」と「事例集」のアップデート

東証は2024年2月、「投資者の視点を踏まえた対応のポイントと事例」を公表していますが、公表後、国内外の投資家から追加的に指摘されるポイントや、新たに出てきた事例があったり、また、小規模な企業の事例や、スタンダード市場に上場する企業の事例を拡充してほしい、という声も寄せられたことから、ポイントや事例のアップデートが行われました。

投資者が期待するポイントの更新

投資者が企業に期待している取組みのポイントについて、今回のアップデートでは、新たに「株主・投資者の期待を踏まえた目標設定を⾏う」と「目標設定や取組みを継続的にブラッシュアップする」が追加されています(投資者の視点を踏まえたポイント)。

事例集のアップデート
2024年11月21日に公表された事例集では、多くの企業の事例が新たに追加されました(プライム市場の事例集スタンダード市場の事例集

開示状況別の株価推移も公開

ご参考にはなりますが、東証要請が出された2023年3月31日を起点とした企業の開示状況別の株価推移も今回紹介されました。以下のグラフによると、企業の開示状況とそれに対する投資家からの評価によって、株価のパフォーマンスに差が出ていることがわかります。投資者と目線のあった取組みや開示を進める企業は、市場から評価されているといえるかもしれません。

【プライム市場】

 

<上記グラフにおける色別 企業の開示状況>
赤色:「事例集」 掲載企業
青色:「開示企業一覧表」で「開示済」となっている企業
水色:「開示企業一覧表」で「検討中」となっている企業
灰色:「開示企業一覧表」に掲載されていない「未開示」の企業

 

今回ご紹介した取組みは、マーケットの主役である、企業と株主・投資家の目線のズレ(ギャップ)が埋められることを期待したものといえるでしょう。

東証市場改革は、単に要請に応じるために対応するという形式的なものでは終わらず、実質面の改革を行うという本来の趣旨を改めて追求する新たなフェーズに入っており、市場改革はまだ始まったばかりといえます。株主・投資家からの期待が⾼まっているなか、企業の変革が積極的に進められることが期待されています。