定期的に毎年支給されるのが年金、1回限りで支給されるのが一時金となります。公的年金制度より、死亡を原因として、年金だけでなく、一時金が支給されることになるケースもあります。
老後の計画を立てる夫婦
短時間のパート勤務をする洋子さん(仮名、以下同、58歳)は64歳で夫の義人さんと暮らしていました。義人さんは4年前の60歳の定年を機に機械メーカーを退職、そのあとは再雇用を辞退して機械関係の技術者として自営業となりました。20代の娘と息子はすでに大学を卒業して社会人となり、別で暮らしています。
その4年前から老後のことについて考え、老後の生活が現実的になってきた夫婦。公的年金だけでなく、私的年金、貯蓄、投資のことも含めて考える洋子さん。週刊誌やインターネットで「年金か一時金、どちらがお得か?」という記事も見かけるようになり、「年金とかお金は受け取り方とか考えないと、損得に差が出るみたいね」と考えます。「けど公的年金は年金として受け取るしかないみたい。一時金とか関係ないみたいね……」との結論に至ります。義人さんは「年金とか税金とかお金の仕組みって複雑だな。俺にはそんな難しいことよくわからんよ」とつぶやきます。
そんな義人さんは大学生の頃、国民年金に未加入でした。そのため、洋子さんから「65歳からの老齢基礎年金はその払っていない分、少なくなるよ。60歳から任意で国民年金に加入して保険料払えば老齢基礎年金は増やせるから、払って増やしておいたほうが良いよ。年金のことしっかり考えておいて」と強調します。
洋子さんに勧められるまま、義人さんは60歳から国民年金へ任意加入して、国民年金保険料(月額約1万6000円以上)を3年ちょっと納付しました。「保険料はかかったけど、これで夫の基礎年金は満額になりそう」と洋子さんも安心します。
その後、義人さんは64歳になり、まず、特別支給の老齢厚生年金(特老厚)を年間144万円受給できるようになりました。自営業で仕事をしつつも年金生活が始まったことになります。