市況改善で利益が急拡大 今期は上方修正で純利益2.3倍を予想

次に業績です。川崎汽船は利益水準が拡大しています。

直近2024年3月期までの10期を振り返ると、川崎汽船は3回の最終赤字を経験しています。海運市況の低迷を主因に、2017年3月期までの連続する2期と、2019年3月期に純損失を計上しました。

しかし新型コロナウイルスが拡大すると、海運需要の増加から市況が急騰します。地政学リスクの高まりも市況を押し上げ、川崎汽船の利益は拡大しました。純利益は2021年3月期に過去最高となる1086億円を計上し、続く2022年3月期および2023年3月期は6000億円を突破します。

2024年3月期は市況の落ち着きから大幅な減益となりました。とはいえ、純利益は1000億円台を維持しており、コロナ前を上回る水準です。

 
出所:川崎汽船 決算短信より著者作成
 

今期(2025年3月期)は再び大幅な増益の計画です。通期予想は中間決算の上方修正後で売上高が7.5%増、純利益が130.4%増(2.3倍)を予想します。予想純利益は期首から1150億円(+95.8%)もの引き上げとなりました。

増益は製品物流セグメントがけん引する見通しです。需給のひっ迫から、引き続きコンテナ船や自動車船が好調に推移することを見込みます。

【川崎汽船の業績予想(2025年3月期)】

・売上高:1兆300億円(+7.5%)
・営業利益:1060億円(+26.0%)
・純利益:2350億円(+130.4%)

※()は前期比
※同第2四半期時点における同社の予想

出所:川崎汽船 決算短信

通期予想に対する進捗率は、公表のある中間決算までで売上高が52.2%、営業利益が57.7%、純利益が78.0%です。上半期は順調な消化となりました。次の第3四半期決算は2025年2月4日に公表の予定です。