◆フジテレビ問題で脚光を浴びた「ダルトン」とは?

フジテレビの問題でフジテレビに対して書簡を送って第三者委員会の設置などについて提言したことで注目されたダルトン・インベストメンツ・インクが運用指図を行う「ダルトン・ジャパン・パートナー戦略ファンド」が12月6日に新規設定され、12月の資金流入額ランキングで第6位にランクインした。同ファンドのコンセプトは、「企業に対して、エンゲージメント(対話)や提案を通じて企業価値の中長期的な向上を促す」というもので、面談、レター、提案(株主提案を含む)を通じて企業との対話を進める。現在のエンゲージメントのテーマとして掲げているのは、「適切な資本配分を策定・開示・コミットメント(ROE/ROICを含む具体的な目標値)」「ガバナンスの改善」「経営陣と株主の利益共有関係を強化」「東証要請への高度な対応」。

2024年12月末時点における同ファンドの組み入れ上位は、江崎グリコ、フジ・メディア・ホールディングス、豊田自動織機、ステラケミファ、文化シャッターなどとなっている。主要投資銘柄であるフジ・メディア・ホールディングスのガバナンスに関する問題だっただけに、モノ申さずにはいられなかったのだろう。同社が公表したレター(ダルトンの関連会社であるライジング・サン・マネジメントが発信)には、「中居正広氏を巡る騒動に関連する最近の貴社の一連の出来事は、単なる芸能界の問題にとどまらず、特に、貴社のコーポレートガバナンスに深刻な欠陥があることを露呈しているものと考える」と指摘し、「貴社株式の 7%以上を所有する大株主として、憤りを禁じ得ない事態」と同社の立場を表明している。

ダルトンは過去20年にわたり⽇本企業に投資してきたアクティビストの老舗だ。主に海外の機関投資家や富裕層向けに「ニッポン・アクティブ・バリューファンド」と「ジャパン・ロングオンリー」を運用し、2024年6月末時点で運用資産総額は約6400億円に達している。ダルトン創業者のジェイミー・ローゼンワルド⽒は「還元要求で一辺倒の強⾏派とは⼀線を画し、投資先との友好的な対話を重視する」と語っている。企業の資本配分の適正化やガバナンス改善などを通じた企業価値向上を⽬指す活動を強化しているという。この問題への対処も含め、今後取り組みが注目される。

執筆/ライター・記者 徳永 浩