三菱UFJ銀行の投信売れ筋ランキングの2024年12月は、5カ月連続でトップだった「eMAXIS 日経225インデックス」が第3位に後退し、前月第2位だった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」がトップに立った。第2位には「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」が上がっている。国内株インデックスファンドの後退が目立ち、前月は第3位だった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)」は第9位まで下がった。一方、「フィデリティ・グロース・オポチュニティ・ファンド」や「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信」といったアクティブファンドが順位を上げている。

 

◆インデックスファンドは国内株から外国株に

三菱UFJ銀行の売れ筋ランキングでは7月から「eMAXIS 日経225インデックス」が11月まで連続してトップを占めてきた。同ファンドは7月までは「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」とトップと第2位を交互に入れ替わる形で上位に位置していた。「eMAXIS 日経225インデックス」は国内株式の代表的なインデックスファンドで、採用している株価指数は多くのテレビニュースでも「本日の日経平均株価は」と伝えているほどわかりやすいものだ。そして、「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」は国内外の株式と債券、不動産投信(リート)、コモディティ、および、オルタナティブ資産に幅広く分散投資するファンドで、「標準型」は目標リスク水準を「年率標準偏差10.0%程度」に置いている。価格が下落するようなことがあっても年10%程度に抑えられるように分散投資しているため、初めて投資する人も比較的安心して取り組める投資商品といえるだろう。「わかりやすさ」や「安心感」など、「預金から投資へ」を後押しするような売れ筋のトップ銘柄だった。

ところが、2024年1月に1人当たり1800万円、投資収益非課税の期間も無期限という「新NISA」がスタートした。日本証券業協会が1月23日に発表したデータによると証券10社(大手5社・ネット5社)の1年間のNISA口座開設件数は343万件、12月末時点のNISA口座数は1611万件になった。銀行等を含む総開設数は年間で400万件を超えたとみられている。金融庁が発表している総口座数は9月末時点で約2509万口座を超え、2023年12月末時点の2124万7420口座から9カ月で384万件増加していた。

2025年1月1日時点の総人口1億2359万人のうち、NISA口座を開設可能な18歳以上は約1億660万人なので、おおむね4人に1人がNISA口座を持っている計算だ。もはや投資することは特別なことではなくなっている。

三菱UFJ銀行の投信の売れ筋で国内株インデックスファンドから、外国株インデックスファンドが優位になってきているのは、さまざまな投資に関する情報が広く流通するようになり、国内株よりも外国株のパフォーマンスが良いことが浸透してきたことが影響しているようにもみえる。「MUFG ウェルス・インサイト・ファンド(標準型)」への評価も、単に「投資の入り口」という位置づけから、米国株に対する割高の指摘や世界的な金利も上昇した昨今の状況を踏まえて「改めてバランスファンドの価値を評価する」という動きも加わっているのではないだろうか。