三菱アセット・ブレインズが発表する「投信マーケット概況」で「国内株式型」に分類されるファンドの2024年12月の月次資金流入額トップは「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」になった。前月トップだった「日経225ノーロードオープン」は上位15位から姿を消し、全体的に「国内株式型」への資金流入量が減った。その結果、前月はトップ15ランキングに入っていなかったファンドが9ファンドも新規にランクインするということになった。

その中で、今年9月に設定された「ひふみクロスオーバーpro」が前月の第15位から第4位にジャンプアップし、12月に設定されたばかりの「fundnote IPO クロスオーバーファンド」がランクインするなど、未上場株式にも投資する新しいタイプのファンドが台頭。「モノ言う株主」としてフジテレビ問題で存在感を発揮した「ダルトン」が実質的に運用する「ダルトン・ジャパン・パートナー戦略ファンド」も第6位に入った。

 

◆揺れる国内株ファンドに対する評価

国内株ファンドの資金流入額ランキングでトップになった「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」だが、11月の資金流入額は約54億円で、12月は約46億円と流入額は減額している。それでもトップになったのは、全般的に国内株ファンドへの資金流入が減る中にあって積立投資で同ファンドに投資している投資家が多かったということだろう。前月トップだった「日経225ノーロードオープン」などはスポット(一括投資)でタイミングをはかった投資に使われ、結果として思惑通りに値上がりしたのか、思惑が外れて損切りしたのか、12月は約375億円の資金流出で月間の流出額が最も大きなファンドになった。

「TOPIX」や「日経平均株価」といったインデックスファンドへの投資が後退する一方、第2位に浮上した「ダイワ金融新時代ファンド」、第3位の「日経平均高配当利回り株ファンド」の他、12月にランクを上げたのは、「小型ブルーチップオープン」、「情報エレクトロニクスF」など、投資対象を特定の業種などに絞ったファンドだ。「ダイワ金融新時代ファンド」は、日銀の利上げによって「金利のある世界」に戻りつつある日本において、「利ザヤ」で稼げる銀行などの金融業界は収益機会が拡大するという追い風を受ける。AI(人工知能)産業の発展で恩恵を受ける「情報エレクトロニクス」や、割安感が強いとされる「高配当株」や「小型株」など、市場全般の先行きが不透明になると、より確信度が高い部分に集中したくなる心理が強くなる。12月の資金流入額ランキングには、そのような心理が浮き彫りになっているようだ。