「住まい」は私たちが生活していくうえで土台となる重要な要素ですが、その中でも賃貸・持ち家の選択は、経済状況やライフスタイルにも直結するため、多くの方にとって関心の高いテーマかと思います。とはいえこのテーマで議論される多くは「コスト面」を中心に展開されているかと思われます。そこで、今回から全3回のコラムでは、第1回目「賃貸・持ち家の推移」、第2回目「それぞれの住居形態での生活満足度」、第3回「生活満足度を高めるために考えたいこと」と、そこに住まう方の「生活満足度」の視点から「賃貸・持ち家」の居住形態について考察していきます。
賃貸派・持ち家派の推移
まずは、過去からの住居形態の推移をみてみましょう。【図表1】の「持ち家住宅率」は、1993年で59.8%、2023年には60.9%と、その水準に大きな変動が見られないことがわかります。次に、年代別での住居形態の変化はどうでしょうか。【図表2】をみると、20歳代で15.1%だった持ち家率が、60歳代では73.2%と大きく増加していることがわかります。
日本全体における住居形態の比率は変わっていないものの、個人ベースで見た場合には、年代が上がるにつれて持ち家を選択する率が高くなる傾向があり、多くの方が理由や経緯は様々あれども、住まいの終着点には「持ち家」を選択しているケースが多いことがわかります。
【図表1】持ち家数、借家数及び持ち家住宅率の推移(1993年~2023年)
(出所)総務省「令和5年住宅・土地統計調査」より三井住友トラスト・資産のミライ研究所作成
*借家数には、「公営の借家」・「都市再生機構・公社の借家」・「民営借家」・「給与住宅」を含む
*持ち家住宅率:住宅全体に占める持ち家住宅の割合
*住宅の所有の関係を含む
【図表2】現在の住居形態
*表内年代は、アンケート回答時の年齢(以降同様)
(出所)特に出所を示していない場合、三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2024年)よりミライ研作成