ですが、実は米国の金融政策を決めるFRBが注目しているのはこれらCPIではありません。FRBは個人消費支出(PCE)と呼ばれる物価指数に着目しています。
青い折れ線グラフがCPI(コア)を、赤がPCE(コア)の推移をまとめたものです。ご覧の通り、PCEはCPIよりも低い状態で推移しています。理由はCPIが値札を集めたようなものであるのに対し、PCEは実際にどれだけ消費されたかを計ったものだからです。
現状、PCEは2.8%、米国が目標とする物価上昇率である2%に近い状況です。さて、前置きが長くなりました。ここから本題に入りたいと思います。CPI、PCE、にもう一つ視点を加えたいと思います。それが「賃金上昇率」です。
現在の米国の賃金上昇率は約4%です。
コロナ禍の中でリストラが相次ぎ、残った人の賃金が一気に上がった。しかし、リオープン(経済再開)があり、急激に下がった。
この異常値が落ち着いた。そしてリオープンの中で人手不足が広がりCPI、PCE、賃金上昇率が上がり、ゆっくりと戻ってきて、4%ほどに落ち着いている。というのが、ここまでの流れです。