前回はアメリカのスタグフレーションリスクについて、1年金利と10年金利からアプローチしました。まだ、終わらないテーマのように思いますが、一つの結論のようなものは見えてきています。今回はその点をお伝えします。
12月11日に11月分の米国消費者物価指数(CPI)が公表されました。青い折れ線グラフが、市場が注目するいわゆるコアCPIと呼ばれるものです。
さて、コアCPIは3.3%から3.2%くらいまで下がりました。去年の後半から徐々に下がってきて、今は下げ止まっている形です。
その理由は何なのかを考えてみたいと思います。
そもそも、われわれが言う「物価指数」は大きく分けると2種類あります。
一つが「フレキシブル(Flexible-Price-CPI)」と呼ばれるもので、その名の通り、伸縮性のあるものを指します。米国で言えば、中古車の価格推移などが伸縮性のあるものですね。
二つ目が「スティッキー(Sticky-Price-CPI)」、つまり粘着性のある物価です。先の画像では、赤の折れ線グラフが指し示しています。代表例は家賃です。粘着性、という言葉からもわかるように、上昇は鈍いが、下がるのも鈍いという特徴があります。
昨今の米国の消費者物価指数をめぐっては、この「粘着性」のあるものが多くを占めているので、目標とする物価上昇率である2%まではなかなか下がりにくいのではないか、といった説明がよくなされます。