<前編のあらすじ>
坂口家の長女である由奈さん(仮名、以下同)は今年52歳。弟の忠太さん(46歳)とは仲が良く、お互いが家庭を持ってからも頻繫に交流していた。そうした中、由奈さんは忠太さんのお金回りがよくなったことに疑念を抱く。
疑念が現実のものとなったのは、父親の正さんの死がきっかけだった。遺産は約3000万円で、遺言書により姉弟で等分するよう指定されていた。ところが由奈さんが正さんの通帳を確認すると、数年前から忠太さんへの定期的な送金記録が見つかった。
由奈さんは忠太さんに対して「お父さんをだましてお金をもらってたの?」と問い詰めるも、忠太さんは助けてもらっただけだと答える。由奈さんは忠太さんの使い込みを疑うようになった。
●前編:【「どうなっているの?」急に羽振りが良くなった弟が怪しい…疑念を抱く姉が驚愕した「家族の秘密」】
由奈さんが忠太さんを疑ったワケ
由奈さんが忠太さんを疑ったのには理由がある。それは父親の正さんが元々だまされやすい性格であったことに加え、亡くなる前10年ほどの間は判断能力も落ちていたこともあって、忠太さんが正さんの財産を実質的に管理していたからだ。
加えて忠太さんはやや遊び人気質なところがあり口がうまい。
「私はお父さんからも忠太からも何も聞いてない、怪しいと思わない方がおかしい」
そう由奈さんは言う。
もし、忠太さんが正さんを巧妙に言いくるめたり、本人にばれないようにしてお金を自分のために使ったりしていれば、それは相続財産において、生前に使い込みをしたことになる。
すると忠太さんの行為はいわゆる不法行為に該当するため、忠太さんは使い込んだ遺産を返還しなければならない。
「だから何回言えば信じてもらえるんだ、本当に違うんだよ!」
由奈さんと忠太さんの話はまとまらないまま数週間が経過する。