<前編のあらすじ>
60代の西さん夫婦は相続について相談するために行政書士事務所を訪れた。そこで一通り遺言書の重要性を説明されたものの、子どもがおらず親族も遺産を求めてこないだろうという理由から、遺言書は不要として資産整理のみを希望した。
しかし、2年後に夫の孝明さんが亡くなると、孝明さんの兄と妹が妻の愛子さんに遺産分配を要求してきた。遺産は自分のものだと思い込んでいた愛子さんにとっては寝耳に水。当面の生活費に加えて老後の生活費も遺産をアテにしていたことから、人生を左右する大問題となった。
●前編:【夫の遺産を老後資金にあてるはずだったのに…1人残された妻が驚愕した義家族の「理不尽な要求」】
かなわなかった孝明さんの生前の願い
生前の孝明さんはといえば「兄と妹には相続はお前にと言ってあるから」と愛子さんへ伝えていたのだが……実際の兄妹は当然のごとく愛子さんへ遺産分割を要求してくる。
「自分たちは兄弟姉妹なのだから遺産を受け取る権利がある」。そう言って迫ってくる義兄妹になんとか対抗できないかと愛子さんは必死に知恵を絞ったが、それは不可能だった。
それも当然だ、子や父母などがいなければ最終的には兄弟姉妹が相続人となることは法律で決まっているからだ。