将来に備えていた矢先…義伸さんに起きた突然の不幸
法人化して義伸さんは、亜美さんに社会保険(健康保険・厚生年金保険)のメリットを力説します。しかし、そんなことをあまり理解していない亜美さんは「私はもう今から正社員で働く気もないし、年金も別に国民年金だけでいいかも」と言うだけです。
そんな亜美さんに「とりあえず今は俺の扶養に入ったけど、亜美も働くなら厚生年金は入っておいたほうがいいよ。将来への備えになる」と付け加えますが、亜美さんは「へー」と薄い反応をする程度でした。
しかし、会社設立から2年後、義伸さんは山登り中の事故により、そのまま亡くなってしまいました。
亜美さんが思い出したかつての夫の言葉
あまりにも突然のことに動揺する亜美さん。葬儀ののち、義伸さん死亡の手続きを市役所で済ませ、そこで案内されて今度は年金事務所に行くことになりました。
年金事務所で亜美さんは職員に「私、何か手続きありますか?」と尋ねます。すると窓口の職員は「遺族年金が年間110万円ほど支給されますし、他に死亡一時金12万円も支給されますから手続きがあります」と答えました。
「遺族年金なんて受け取れるんですね。これだけあるなら自分の収入と合わせて何とか生活できそう」と言います。そして、「そう言えば夫は会社を設立した際に年金のことも熱く語っていて、『万が一の時も安心だ』というようなことも言っていましたけど、どういうことか分かりそうですか?」と疑問点を職員に伝えます。
職員は「恐らくなのですが……」と言いながら、義伸さんが生前行っていたことが亜美さんのためになったことを話し始めました。
●義伸さんが亜美さんのため準備していたこととは? 後編【遺族年金を受け取った妻が抱いた感謝の想い。亡き夫が生前にしていた“抜かりない備え”とは】で詳説します。
※プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています。