30代は、今後のライフプランを検討するにあたって、数多くの重要なイベントが起こる時期です。その中でも住宅問題は、一生の資産形成に関わる重要な決定になるでしょう。
なぜ、30代で住宅を考えるべきか?
30代で住宅を考える最大の理由は、リタイアまでに住宅ローンを完済することが望ましいという点にあります。住宅ローンの返済期間は、分譲戸建住宅で約33年、分譲集合住宅で約30年が平均的です(国土交通省の令和4年度住宅市場動向調査)。70歳での退職を前提に完済を目指すと、30代で住宅ローンを組む必要が生じます。もちろんリタイア後も住宅ローン返済を続ける選択、親子リレーローンなどの選択もありますが、その分老後資金計画が厳しくなります。
なお、60代の住宅ローン残高の平均は733万円です(金融広報中央委員会「令和5年度家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」)。住宅購入前の賃料負担なども考えると、早めの決断が望ましいとされますが、将来の不確定要素を考えると簡単な決断ではありません。
「賃貸」と「持ち家」の比較
まず、決断を迫られるのが、賃貸か持ち家かの問題です。以下にそれぞれのメリット・デメリットをまとめました。
選択は個人の価値観次第ですが、賃貸の場合、リタイア時に将来の賃料相当の資金確保が別途必要となることは注意してください。たとえば、月10万円の賃料を支払うと仮定すると、25年で3,000万円が必要になります。ライフスタイル、個人の状況、市況、金利などを考慮して、長期的かつ多角的に考察する必要があります。しかし、検討が難しいからといって先送りにするのもリスクが伴います。