米国株投資で今“やってはいけない”ことは…

長期目線の投資家が、米国株で今避けるべきは、戻り基調の資産に集中投資を行うことだ。

集中投資とは、あえて特定の銘柄や業種に集中的に投資するという、分散投資の対極にある投資方法である。足元では、日経平均株価よりもS&P500指数の方が戻りが早く、こうした状況下では、これまで十分な含み益をもたらしてくれた米国株に集中的に追加投資したくなる。

しかし、このタイミングで米国株への投資を増やすことは、前回の本連載※でも解説した、リバランス(資産の再配分)の観点からあまりおすすめはできない。特定の資産(ファンド)が値上がりしてポートフォリオ全体に占める割合が高くなると、必然的にその資産のポートフォリオにおける影響力が大きくなるためだ。特定の資産やファンドの影響力が大きくなると、そのファンドが急落したときにポートフォリオ全体がダメージを受けることになる。長期資産形成に資するポートフォリオを作る上ではむしろ、戻りが鈍い、あるいは、出遅れている資産に目を向けることが重要だ。

※2024年8月公開【波乱相場の今こそ見直したい…相場急変時に大きなダメージを受けないよう“含み益”に対してすべき「行動」】ご参照

実は、投資信託で失敗する人の多くは、必ずしもファンド選びに失敗しているというわけではなく、「余分なリスク」を取ってしまった結果、ポートフォリオを自分で管理しきれなくなっているというところに失敗の原因がある。積み立てをしている場合は特に、欲をかかず、むやみやたらに積立金額を増やしたり、同じようなファンドを追加で積み立てたりすることのないようにするとともに、相場が大きく動いているときほど冷静にリスクと向き合うことを心掛けてほしい。