6月の本連載※で、「NISAで保有する投資信託は売却しても構わない」と解説したところ、大きな反響をいただいた。

※6月掲載新NISA開始から半年…ところで「旧NISA口座」はどうしている? タイムリミット前に行動を起こしたほうがいい理由とその条件

足元こそ株式・為替市場ともに調整が入っているが、それでもなお、近年の「円安+株高」コンボによって投資家が受けた恩恵は大きいはずだ。

投資元本を大幅に上回る含み益をこのまま放置して良いか迷っている人も多い中、今回は、「今やっておいたほうが良いこと」として「リバランス」について解説したい。

含み益がふくらんだときは、リバランスのタイミング

リバランスとは、相場変動によって変化した資産の配分比率を当初の状態に戻す作業のこと。特定の資産(ファンド)が値上がりして配分比率が高くなると、必然的にその資産のポートフォリオにおける影響力が大きくなる。そこで、上昇した資産を売り、比率の低下した資産を買い増すことで資産配分を元の比率に修正し、同時にポートフォリオ全体のリスクも当初の水準に戻す。リバランスという一連の行為に、利益確定の売却が含まれているという点に特徴がある。

筆者作成

過去数年間の市場環境に照らし合わせて例えるなら、米国株は真っ先に売却対象となる。これまで大きな含み益をもたらしてくれた米国株を追加購入したくなる気持ちは理解できるが、長期資産形成に資するポートフォリオを作りたいなら、グッと我慢して米国株、あるいは、米国株ファンドの追加購入は見送ろう。

投資信託は、「含み益相当分だけ」や「半分だけ」など、金額ベースで部分的に売却することができる。例えば、元本100万円 の投資信託が140万円に値上がりした場合、含み益に該当する40万円分だけを売却することができるため、個別株と比べてリバランスがしやすいというメリットがある。

ただし、積み立てのように同一銘柄を同じ口座で複数回に分けて購入していた場合、原則として取得(購入)日が古いものから順番に売却される(これを先入先出法と言う)。直近に購入したものを先に売却したり、特定の年月に購入したものを指定して売却したりということはできないため、この点は注意してほしい。