〝大炎上〞を防ぐ「終活の3大ポイント」

「老後ひとり難民リスク」が高い方や、自分の親など身のまわりにリスクが高い方がいる場合は、さまざまな公的機関や専門職、民間事業者のサポートの活用を検討しながら、現段階では個人で「終活」を進めていく必要があります。私がこれまでの調査研究を踏まえて定義した終活分野は、次の8項目です。

 (ア)日常生活に必要なこと(運転、掃除、買い物、食事の用意など)
 (イ)入院時の保証人・医師の説明の同席・つき添い
 (ウ)入院費、家賃、その他のお金の支払いの手続き
 (エ)介護保険サービス選びや契約の手続き
 (オ)延命治療に関する考えを医師などに伝えること
 (カ)亡くなったあとの葬儀やお墓の手配
 (キ)亡くなったあとのペットの世話(譲渡するなども含む)
 (ク)亡くなったあとの財産の配分や家財の処分

これらについて、日本総研が50〜84歳の方約2500人を対象に準備状況を調査したデータが以下の図表です。

 

8項目について「具体的に頼んである」「おおまかに頼んである」「依頼はまだだが頼む相手は決めている」「頼む相手がいない・決めていない」のいずれかを選択してもらった結果ですが、「依頼はまだだが頼む相手は決めている」という回答が4割ほどを占める項目が多く、またすべての項目で「頼む相手がいない・決めていない」という回答が2〜4割ほどという状況であることもわかります。

同調査では、「自分の病気や要介護・死亡時に周囲の人が手続きできるよう備えたい」かどうか、「備える場合に難しい点」は何かについても尋ねています。調査結果からは、9割を超える人が「備えたい」と思っている一方で、そのタイミングや、すべきことがわからないと感じていることがうかがえます。

では、この8つの項目に関しては、いつどのように準備していくべきなのでしょうか? 先ほどお伝えしたように、「ここに頼めば安心」「これだけやれば絶対大丈夫」という解決策は、残念ながらありません。

また、従来であれば家族が個別に解決してきた分野であるため、「老後ひとり難民」の場合、何が必要で何をすべきかが明確に定まっているわけでもありません。

それでも、できる分野から準備を進めていくことが大切です。具体的には、次の「終活の3大ポイント」を行っておけば、少なくとも問題が〝大炎上〞してしまうことは防げるのではないかと思います。

 ①自分に関する情報を整理する

自分の代わりに動いてくれる人の連絡先(電話番号)、延命治療に関する希望、お墓などの納骨場所、関連する契約(死後事務委任契約や任意後見契約)、遺言書などを整理しておく。

 ②契約・依頼を明確にする

①で整理した情報について、自分の代わりに動いてくれそうな人に、どんなときに何をしてほしいか、あらかじめ依頼をしておく。必要な場合は、「代わりに動いてくれそうな人」や専門家(弁護士、司法業者」などと契約を結んでおく。

 ③自分がいなくても情報が伝わるようにしておく

①と②について、たとえ自分の意識がなかったり死亡したりしたとしても、情報が周りに伝わるようにしておく。

老後ひとり難民

 

著書 沢村香苗

出版社 幻冬舎

定価 990円(税込)