◆トップ10の半分はグローバル・バランス型ファンド

ゆうちょ銀・郵便局の売れ筋の特徴は、トップ10の半分をグローバル・バランス型ファンドが占めていることだ。他の金融機関では、アクティブ型の株式ファンドなどがトップ10に数本入ってくることが多いが、ゆうちょ銀・郵便局では「インデックスファンド」と「グローバル・バランス型ファンド」という2択になっている。しかも、インデックスファンドが、国内、米国、先進国、全世界など投資先を選べるように、「グローバル・バランス型ファンド」も「4資産」と「6資産」で、さらに「安定」、「安定成長」、「成長」などといったコースから選べるようになっている。これらのファンド群では、多様な資産の組み合わせやリスクからバランス型ファンドを選べるのも大きな特徴だろう。

「JP4資産バランスファンド」は、国内株式・先進国株式・国内債券・先進国債券の4つの資産に分散投資する。資産配分比率は、「安定コース」が債券7割・株式3割、「安定成長コース」が債券5割・株式5割、「成長コース」は債券3割・株式7割という比率になっている。国内資産に65%~75%を割り振るため、国内資産中心のポートフォリオになっている。この3コースはスイッチング(切り替え)ができる。また、この3コースとは別に「JP4資産均等バランス」がある。このファンドは、4つの資産に均等に投資するため、国内資産と海外資産の比率も50%ずつとなる。公的年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の現在のポートフォリオと同じ配分比率だ。

「野村6資産分散投信」は、国内株式・国内債券・国内リート(不動産投信)と外国株式・外国債券・外国リートの6資産を投資対象としている。「安定コース」は債券7割・株式2割・リート1割、「分配コース」は債券7割・株式2割・リート1割だが、外国債券の比率が大きい。「成長コース」は債券2割・株式7割・リート1割の比率。さらに、運用会社がその時々で最適と考えるコースに自動的に切り替えてくれる「配分変更コース」がある。そして、この4コースとは別に6資産に均等に配分する「野村6資産均等バランス」がある。

多彩なバランス型ファンドのラインアップになっているが、それぞれのファンドのパフォーマンスをみると、「JP4資産バランスファンド」の「安定コース」は3年(年率)トータルリターンが3.61%、「安定成長コース」が同7.27%、「成長コース」が同10.90%。そして、「JP4資産均等バランス」が同8.94%だ。「野村6資産分散投信」は、「安定コース」が同2.14%、「分配コース」が5.40%、「成長コース」が12.11%、「配分変更コース」が5.08%、「野村6資産均等バランス」は同7.34%になっている。7月の売れ筋は、このリターンが高い順番に並んでいる。分散投資することでさまざまな景気や市場の変動に対応できるポートフォリオを作りつつ、その中にあって最もリターンの高いファンドが支持されるのは、わかりやすいファンド選びの動きといえる。

執筆/ライター・記者 徳永 浩