日経新聞が集計したところ、主要企業のうち2024年1~6月に退任した社長で時価総額を最も増やしたのはMonotaRO(モノタロウ)の鈴木雅哉(すずき・まさや)氏となりました。着任は2012年3月、増加率は21.9倍に達しました。鈴木氏は2024年1月に会長職へ移り、モノタロウは12年ぶりに新体制へと移行しています(出所:日本経済新聞 2024年7月25日付朝刊)

時価総額が増加したということは、株式市場の評価が高いということです。さらにモノタロウは「価値創造が推定される我が国を代表する企業で構成される指数」をコンセプトに算出される「JPXプライム150指数」にも選ばれています。

モノタロウはなぜ投資家に支持されるのでしょうか。モノタロウの魅力を探ってみましょう。

工具のアマゾン 2200万点を販売、うち66万点は即日出荷

モノタロウは間接材のECサイトを運営する企業です。間接材とは、生産に直結する直接材(原材料、部品など)以外の資材を指します。代表的な間接材として、工具や小型機器、各種の消耗品などが挙げられます。

間接材は品種が極めて多く、1商品あたりの購買頻度も少ない傾向にあります。さらに顧客の多くが中小企業であることから、いわゆる「規模の経済」が働きにくい商材です。主に地域の小売業者が間接材を販売していますが、品ぞろえは購買頻度が多いものに限られやすく、顧客は購入に時間と手間がかかる傾向にあります。

モノタロウは、ニッチな商品も含め、多種多様な間接材を一手に取り扱うことで非効率な流通の解消を目指してきました。さらに自社で物流拠点も備え、納期の短縮にも取り組んでいます。モノタロウによると、取扱商品は2200万点超、うち66.6万点は当日出荷、56.9万点は翌日出荷に対応しています(出所:モノタロウ 統合報告書2024)

モノタロウはニーズを捉え、同社は早いスピードで成長してきました。2001年のサービス開始から、わずか5年後の2006年には上場を果たしています。成長は続いており、売り上げは右肩上がり、純利益は14期連続で増加しています(2023年12月期)。