仕事へのモチベーションが低下する中で知った驚きの事実

自宅通勤をいいことに、毎月10万~20万円は推し活に費やしています。

推しの魅力はなんと言ってもビジュの強さです。そこらの俳優やアイドルを蹴散らす神ルックスに190cm近い長身。それで性格や頭も良さそう、加えてバレーもうまいのですから、一体、天からいくつ授かりものをしたんだよ、と思います。

推し活と出会って人生が変わり、特にここ3年間は推しが最優先。その次が友達で、ぐんと下がって仕事という順番です。仕事には「推し活の費用を稼ぐ手段」程度のモチベーションしか持てなくなっていました。

ですから、SNSに職場の後輩からこんなメッセージが届いた時は驚きました。

「中里華菜さんって、先輩の同期ですよね? 7月からうちのマネージャーで来るらしいですよ」

え? 中里華菜って、あの華菜のこと?

推しでいっぱいになった頭の片隅からどうにか引っ張り出した入社直後の記憶では、華菜は決して感じは悪くないのだけれど、何をさせても要領が悪い愚鈍な女という印象でした。その後、華菜は営業部に、私はマーケティング部にと配属が分かれ、それなりに大きな会社だったこともあって、ほとんど接点がなかったのです。

慌てて営業部にいる別の同期に問い合わせると、「知らなかったの? 華菜は今、うちのエースだよ」と言うではありませんか。

何でも、一昨年あたりから立て続けに大型商談を成約に導き、新社長の有能な若手や女性をどんどん抜擢(ばってき)するという方針に沿って主任をスキップしてマネージャーに昇進したのだとか。そして、「人材と経費の無駄遣い」と陰口を叩かれるマーケティング部に改革の旗手として送り込まれてくるらしいのです。

なんだか、悪い冗談を聞かされているような気持ちになりました。5年前の入社時には見下していた同期がマネージャー、片や私は平社員のままですから、華菜の部下になるわけです。