3月末で会社を退職し、新たな職場に入られた方も多いのではないでしょうか? 新しい環境にも慣れてきたこの時期に、改めて「企業年金」のことを考えてみましょう。

会社を中途退職された皆さん、手続き忘れはありませんか?

「企業年金」は、確定拠出年金(DC)、確定給付企業年金(DB)、厚生年金基金、中小企業退職金共済(中退共)など、基本的には企業の退職給付制度を代替する機能のある制度です(公務員の場合は各種共済制度の退職金等年金給付)。退職給付(=退職金)というと、退職後に会社から支給される(振り込まれる)ものという認識が一般的かもしれませんが、DCと中退共については退職者本人が手続きをする必要があります。

まず、中退共についてみてみます。会社が12カ月以上の掛金拠出をしていた場合は、次の書類を中小企業退職金共済事業本部(中退共本部)に郵送することで退職金の受取が可能です。

・共済手帳3枚目にある「退職金等請求書」
・マイナンバー入り住民票
・身元確認書類(免許証などのコピー)
・受け取りのための金融機関を証明する書類

中退共本部での請求書審査期間は4週間ほどです。手続きを忘れずに行えば、受取手続きはそれほど難しくないといえるでしょう。

それでも、中退共の退職金等一時金支給状況は2023年3月末で28万1,641件。同じ時期の脱退者は37万9,084件のため、10万件近い開きがあります。手続きの時間的なずれもあることから考えると、未請求者が10万人いるわけではありませんが、3年経過後の未請求者数は、2021年度に請求権が発生した人の場合1.83%となっています。請求せずに放置する人が一定数存在すると考えられます。

なお、中退共の給付は5年以上が経過すると受け取り時効となりますので、心当たりのある方は問い合わせしてみましょう(中退共本部コールセンター 03-6907-1234)。

*数値はすべて中小企業退職金共済事業本部公表