日本でガバナンス改革が進められています。しかし、何が大事なポイントなのか、なぜガバナンス改革が進むと企業と株主にとって良いのか、今ひとつイメージがわかずピンと来ない事があります。今回はバガナンス改革を解説しましょう。
マイクロソフトは言わずと知れたマグニフィセント7の一角で時価総額は世界有数です。しかし、一時期は業績も株価も低迷していました。2000年のITバブルの時代には時価総額が約4500億ドルでしたが、2012年頃には約半分にまで落ち込みました。そして、株主からCEOの交代を迫られ、結果的に交代して業績はよみがえりました。ガバナンス改革の好事例なのです。直近の時価総額は3.5兆ドルですから、日の出の勢いを取り戻したことが分かります。日本でガバナンス改革が進められていますが、その本質は何か、分かりやすい事例なのでご紹介しましょう。
株主は、先行き不安のある経営トップを変える力を持つ
Windowsとして知られるパソコンのOSを作るマイクロソフトは、2010年頃にクラウドへの移行期に大きく出遅れました。従来の個人向けパソコン販売に固執したことで、業績も落ち込みました。同社の経営の先行きに危機感を持った一部の機関投資家は、当時のCEOだったバルマー氏に退任を迫りました。そして結果的には他の機関投資家も同調し、2014年2月に新CEOのナデラ氏に交代しました。インド人のナデラ氏は法人顧客を対象とするクラウド路線へと大きく路線を転換し、結果としてマイクロソフトの経営はよみがえりました。
なぜこれがガバナンス改革の本質的な事例なのでしょうか。経営の大きな方針はCEOが決めます。もしそれが誤っていたらどうなるでしょうか。業績が低迷して株価も下がります。しかし、会社のトップであるCEOを更迭するのは容易ではありません。なぜならCEOが人事も含めたその企業のトップだからです。一般社員は会社から人事の査定を受けます。評価が良ければ昇進、ダメなら昇格は無理で場合によっては降格さえあり得ます。しかし、CEOにはこのメカニズムが社内にはないようなものなのです。そこで株主の出番となります。株主には、CEOの人事の査定をして、ダメなら交代を迫る力があります。その成功事例が今のマイクロソフトなのです。
日本でも徐々にガバナンス改革の成果が
日本では株主の圧力で会社の社長が変わる例はまだまれです。しかし、ないわけではありません。政府が進めたガバナンス改革の効果が徐々にですが着実に出ているのです。日本でもマイクロソフトのような例が出れば、その企業の経営はよみがえり、日本経済の発展に貢献すると思います。日本でも5年後には株主からの圧力で社長が交代することが例外ではなく、ごく普通になっている可能性が十分にあると思います。
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