今、行動経済学がブームです。

行動経済学は「心理学」と「経済学」が融合した比較的新しい分野の学問です。ビジネスから生活まであらゆる場面で生かせ、行動経済学者のノーベル経済学賞受賞も続いています。最も注目を浴びている学問と言ってもいいでしょう。

長年、ビジネスの最前線で行動経済学を活用してきた橋本之克さんは、「行動経済学を知れば、自分自身の不合理さに気づくことができる」と言います。夫婦喧嘩から保険投資まで、どうして人は合理的な判断ができないのかを橋本さんに解き明かしてもらいます。(全4回の2回目)

●第1回: コンビニと美容院…店舗数が多いのはどちら? “コンビニのほうが多そう”と思った人に起きている「思考プロセス」

※本稿は『世界最先端の研究が教える新事実 行動経済学BEST100』から一部抜粋・再編集したものです。

変化を嫌う心を使う商売

サブスクリプションは、利用者がモノを買い取るのではなく、借りて利用した期間に応じて料金を支払うビジネスモデルです。『日経MJ』の2018年ヒット商品番付の「西の大関」にも選ばれるなど注目を集めています。様々な業態、商品やサービスなどで活用される機会が増え、「サブスク」と短い愛称でも呼ばれるようになりました。

サブスクは元々は新聞などの定期購読を指す言葉でした。一般に広く知られ、使われるようになったのは、動画や音楽の視聴し放題からでしょうか。月500円~2000円程度で動画を見放題、音楽を聴き放題、雑誌などを読み放題など、定額でコンテンツを楽しめるサービスが人気を得ました。またパソコン向けのソフトなど「箱入りソフトウェア」を、単品売り切り型からサブスクに切り替える企業も増えました。クラウド活用やダウンロードなどを通じて、ソフトを顧客に提供しています。

音楽や動画、パソコンソフトなどデジタル配信できる商品は、モノをやりとりする物流が必要ないため、特にサブスクとの相性が良いのです。これらを総称して「デジタル型サブスク」と言います。

一方で、「モノ型サブスク」も増えました。洋服はサブスク初期の頃からありました。月6000円~1万円程度で好きな洋服を借りる形です。ライフスタイルやシーンに合わせたバリエーションが用意され、中にはスタイリストがコーディネートしてくれるサービスもあります。その後バリエーションが増えて、高級時計、高級バッグ、アクセサリーなどのほか、家電や自動車などもサブスクで提供されています。

その後、「コト型サブスク」と言うべきサービスも増えています。飲食、美容、住まいなどに関する定額で利用し放題のサービスです。月1万円で毎日ラーメンが食べられる店、月3000円で毎日クラフトビールが飲めるサービスも登場しました。この他、定額でカットし放題の美容院、定期的に季節の花を届けてくれる花屋、好きな家具を一定期間使える、コーヒーマシン付きで好みのコーヒーを配送してくれるなど、様々なサービスがあります。