会社に勤めたのは結婚前の時期のみで、結婚後は専業主婦をしていた女性。夫婦共働きが多くなっているなかでも、こうした女性もまだまだいるのが実際のところです。長く専業主婦をしていても基礎年金は受け取れることになりますが、今回は、夫の転職が原因で、その基礎年金の額が減ってしまう専業主婦の事例について取り上げます。
専業主婦歴が長い美咲さんの年金事情
62歳になった美咲さん(仮名)は、同い年の夫・和弥さん(仮名)と暮らしています。美咲さんは短大を卒業してから数年間会社で働き、和弥さんと結婚後は現在に至るまで専業主婦でした。
そのため、年金への加入歴としては、
・20歳から短大卒業までの数カ月間は年金に未加入
・会社へ入社してから退職するまでは厚生年金へ加入
・退職後から60歳になるまでは国民年金の第3号被保険者
という状況でした。60歳以降は国民年金への加入義務もないことから第3号被保険者にもならず、年金には加入していません。
この世代の方の年金の支給開始年齢は男性と女性で異なり、和弥さんは65歳から年金が受け取れるようになるのに対し、女性の美咲さんは会社に勤めた期間も数年あったことから62歳から厚生年金も受給できることになりました。
「働いたのは数年だから厚生年金は少ないけど……扶養に入っていたから65歳から基礎年金は受け取れるのよね。それから振替加算というのも加算されるそうだし、それなりに年金は受け取れそう」と思っていました。