知らないと年金資産が減る続ける「残念な結末」に…

自動移換のデメリットとして次のことが挙げられます。

①自動移換時に4348円が手数料として年金資産から差し引かれる
②自動移換されている期間管理手数料として毎月52円年金資産から差し引かれる
③現金化され資産の運用がされない
④自動移換中の期間は、通算加入者期間にカウントされないため、受け取り可能年齢が遅くなる可能性あり
⑤再び企業型DCやDBに移換する場合は1100円の手数料がかかる
⑥60歳以降に受け取るためにはiDeCoへの移換が必要で3929円の手数料がかかる

自動移換されると、運用されないばかりか、手数料が毎年差し引かれるため、せっかく積み上げた年金資産が少しずつ減ります。

これほどのデメリットがあるにもかかわらず、企業型DCの普及に伴い、自動移換者も増加しているとのこと。「令和4年度国民年金基金連合会業務報告書」によると、令和5年3月31日現在の自動移換者は66万1528人(資産額0円を含む自動移換者は118万3061人)で、管理資産額は2818億9700万円にものぼります。そのうち、令和4年度に新規自動移換された人が15万227人おり、その資産額だけで565億8200万円となっています。

これだけの年金資産が宙に浮いたような状態になっているとは、もったいないとしか言いようがありません。

心あたりのある人はすぐにアクションを!

国民年金基金連合会では、増加する自動移換者対策として、自動移換時および年1回、手続き奨励の通知を行っています。郵便物が来ていないか確認してください。

また、自動移換者縮小に向けた取り組みとして、自動移換者で新たにiDeCoや企業型DCの加入者になったことが確認できた場合は、本人が移換の申し出をすることなく、移換処理が行われるといった手続きの簡素化も行われているようです。

自動移換者には「資産0」という人が約52万人いますが、これらの人は自動移換中の手数料はかかりません。加入期間等の情報のみが管理されている状態です。これらの人も申し出ることで、今後新たに企業型DCやiDeCoに加入したとき、過去の加入期間が通算され、受け取り可能年齢が早まる場合があります。

過去に転職や退職した経験があり、その当時企業年金があったかどうか記憶にないという人は、もしかすると企業型DCが自動移換され、年金資産が眠っているかもしれません。

心あたりがある方は、国民年金基金連合会が委託した特定運営管理機関が運営する自動移換者専用コールセンターに問い合わせを行ってください。手続きを取って年金資産をiDeCo等に移換すれば、再び積み立てや運用ができます。早めにアクションを起こしましょう。

参考:国民年金基金「令和4年度 国民年金基金連合会業務報告書」
参考:厚生労働省「離職・転職時等の年金資産の持ち運び(ポータビリティ)」