為替ヘッジで9年ぶり最終減益 今期はどうなる?
売り上げを順調に伸ばす神戸物産ですが、2023年10月期は経常利益と純利益は減少しました。最終減益は9年ぶりです。
【神戸物産の業績】
2022年10月期 | 2023年10月期 | |
売上高 | 4068億円 | 4615億円 |
営業利益 | 278億円 | 307億円 |
経常利益 | 321億円 | 300億円 |
純利益 | 208億円 | 206億円 |
出所:神戸物産 決算短信(外部リンク)
主な原因は営業外収支の悪化です。為替差益の減少や為替ヘッジにかかるデリバティブ評価損失などから、営業外で7億円の赤字が生じました(2022年10月期は43億円の黒字)。
神戸物産は海外から商品を輸入し販売しています。2023年10月期の輸入実績は798億円です。これは商品仕入れ実績(3633億円)の22%に相当します(出所:神戸物産 有価証券報告書(外部リンク))。
輸入において円安は不利に働きます。神戸物産は為替の影響を低減するため、デリバティブ取引を活用し仕入れの為替リスクを一部ヘッジしています。
デリバティブ取引にかかる金融商品は時価で評価されています。2022年10月期は5億円の評価益となっていたところ、翌期は41億円の評価損失となり、減益の大きな原因となりました。
今期(2024年10月期)の計画はどうでしょうか。前期決算で公表された業績予想は以下の通りです。増収増益ながら、円安・ドル高およびコストの高騰などが続くことを想定し、営業利益は微増にとどまる見通しです。また業務スーパーの出店は35店舗の純増を計画しています(出所:神戸物産 決算説明会資料(外部リンク))。
【2024年10月期の業績予想】
・売上高:4980億円(7.9%)
・営業利益:310億円(0.9%)
・経常利益:330億円(10.1%)
・純利益:215億円(4.6%)
※()は前期比
出所:神戸物産 決算短信(外部リンク)
一方、経常利益は10%の増益と大きめの回復を予想しています。2023年10月期の減益の主因だった営業外収支の赤字は、今期は解消を見込んでいるようです。
神戸物産の上記の計画は円安を前提に予想されています。想定より円高に推移すれば業績にはプラスに働きやすいでしょう。円高が進む局面では、思惑から神戸物産株式に買いが集まるかもしれません。