かつて小売業で最大の売上高を誇ったダイエーは、競合との競争などから業績不振に陥りイオンに買収されました。ダイエーは存続していますが現在もうまく利益を出せていません。

日本一に上り詰めたダイエーはなぜイオンに買収されるに至ったのでしょうか。経緯と現在の状況を紹介します。

小売業の雄ダイエー 記録づくめの栄光時代

ダイエーは1957年、中内功(なかうち・いさお)氏(※)によって創業されました。1号店として「主婦の店・ダイエー薬局」を大阪市に出店し、その後は全国へチェーン展開します。

※中内功氏の「功」は、正しくは工偏に刀。ウェブ表示上の問題から代用。

ダイエーは「価格破壊」や「流通革命」をスローガンに、あらゆる商品を手ごろな値段で販売する戦略を採りました。これがヒットし1960年代に大きく成長します。1972年には大手百貨店を抜き、小売業で売上高日本一を達成しました。

さらに1980年、ダイエーは小売業で初めて年間売上高1兆円を記録します。1980年のスーパー販売額が5兆6840億円(出所:経済産業省 商業動態統計調査)ですから、ダイエーがいかに圧倒的なシェアを握っていたかわかります。1990年代半ばには売上高が3兆円に達し、ダイエーは栄華を極めました。

【スーパーの販売額(1980年~1999年)】

出所:経済産業省 商業動態統計調査より著者作成

ホテルやプロ野球チームの経営など多角経営にも積極的でした。一時はローソンやリクルートも傘下に持つ巨大グループを構築します。ダイエーは日本を代表する企業へと上り詰め、創業者の中内氏は「流通王」と呼ばれるようになりました。