消滅免れるも不振続く ダイエーはいつ再建できるか
イオンの完全子会社化となった当初、ダイエーは2018年度ごろに消滅するとされていました。しかしダイエーの法人格は現存しており、2023年6月時点で206店舗を運営しています。
「ダイエー」を冠する店舗も全国に94店舗(2023年10月18日時点)あり、ブランドとしても存続していることがわかります。2023年11月には「ダイエー四谷荒木町店(新宿区)」も開業されます。
ただし業績は芳しくありません。ダイエーは大型の総合スーパー事業(GMS)から撤退し、都市型のスーパーマーケット事業(SM)を中心に展開しています。売上高は2000億円台後半とピーク時から大きく縮小しました。利益が安定しているわけでもなく、累積の利益を表す利益剰余金は157億円のマイナスです(2023年2月期)。イオンにとってダイエーは高い買い物だったのかもしれません。
【ダイエーの業績(2021年2月期~2023年2月期)】
売上高 | 純利益 | |
2021年2月期 | 2975億円 | 41億円 |
2022年2月期 | 2866億円 | -10億円 |
2023年2月期 | 2791億円 | -76億円 |
出所:ダイエー 有価証券報告書
もっともイオン全体の業績は盤石です。2023年2月期はスーパーマーケットやドラッグストアなど多くの業態が好調で、売上高に相当する営業収益は9兆円を記録し過去最高を更新しました。利益剰余金は4118億円まで積み上がっています。ダイエーの不振はイオンにとって脅威とはいえないでしょう。
【イオンのセグメント業績(2023年2月期)】
売上高 | 営業利益 | |
GMS事業 (総合スーパー) |
3兆2690億円 | 141億円 |
SM事業 (スーパーマーケット) |
2兆6421億円 | 228億円 |
DS事業 (ディスカウントストア) |
3835億円 | 37億円 |
ヘルス&ウエルネス事業 (ドラッグストア) |
1兆1497億円 | 448億円 |
総合金融事業 | 4569億円 | 603億円 |
ディベロッパー事業 | 4435億円 | 452億円 |
サービス・専門店事業 | 7656億円 | 103億円 |
国際事業 | 4974億円 | 129億円 |
(参考)連結計 | 9兆1168億円 | 2097億円 |
出所:イオン 決算短信
イオンに体力があるとはいえ、不振が続けば再びダイエーに消滅の芽が出てくるかもしれません。経営破綻した同業のマイカルはイオンに買収され、吸収合併で消滅しています。
ダイエーは再建することができるのでしょうか。2024年で産業再生機構の支援から20年、イオンによる完全子会社から10年がたとうとしています。
文/若山卓也(わかやまFPサービス)