バブル崩壊やリーマンショックなど、極端な金融不安が何度も襲った日本では、大企業が突然姿を消すことも珍しくありません。三洋電機もその一つです。ソニーや日立に並ぶ大手電機メーカーでしたが、同業のパナソニックに買収され現在は法人格を残すのみとなっています。

三洋電機はなぜ買収されるに至ったのでしょうか。経緯を振り返りましょう。

投資の失敗で損失2000億円

三洋電機は井植歳男(いうえ・としお)氏によって1947年に創業されました。戦前は松下電器産業(現・パナソニック)で経営に携わっていた人物で、同社の創業者である松下幸之助(まつした・こうのすけ)氏の義弟にあたることでも知られます。

戦後、松下電器が財閥指定を受けたこともあり、井植氏は独立して三洋電機を設立しました。同社はリチウムイオン電池で世界トップクラスのシェアを握り、社員10万人を擁する大企業へと成長します。

しかし半導体事業や液晶事業への投資が失敗し、経営不振に陥りました。2005年度には2000億円以上の純損失を計上しています。

運転資金確保のため大和証券グループと三井住友銀行、ゴールドマン・サックスグループの3社から3000億円の出資を受けますが、リーマンショックもあり業績の回復には至りません。2008年度には再び900億円を超える最終損失へと転落します。株価も長期株価することとなりました。