神戸物産の株価は横ばいが続いています。2021年9月の高値(4660円)までは顕著に上昇しました。その後は翌年5月の安値(2752円)まで下落し、直近ではおおむね3600円~4200円で推移しています。神戸物産は円高メリットのある銘柄として知られているため、円安が進んだ近年は選好されにくかった可能性があります。

【神戸物産の業績】

   売上高   純利益 
 2022年10月期 4068億円 208億円
 2023年10月期 4615億円 206億円
 2024年10月期(予想) 4890億円 215億円

※2024年10月期(予想)は2023年10月期時点における同社の予想

出所:神戸物産 決算短信(外部リンク)

出所:Investing.com(外部リンク)より著者作成

神戸物産は業務スーパーの運営会社です。売り上げは好調で、投資家からも比較的高い評価を得ています。「価値創造が推定される我が国を代表する企業で構成される指数」として算出される「JPXプライム150指数」にも、収益性と市場評価性(PBR基準)の双方の基準を満たし選出されました。

神戸物産はなぜ高く評価されているのでしょうか。ビジネスモデルから探ってみましょう。また2023年10月期の減益の原因と、2024年10月期の見通しも紹介します。

成長力と利益率に強み 業務スーパーのビジネスモデルとは

神戸物産の主力事業は業務スーパーの運営です。2023年10月末で全国1048店舗を主にフランチャイズで運営しています(直営は4店舗)。加盟店への卸売りに加え、加盟店からフランチャイズ契約に伴うロイヤリティを得るビジネスモデルとなっています。

主力の業務スーパーを中心に神戸物産は順調に拡大してきました。売上高は2023年10月期までに18年連続で増加しています。成長は加速しており、2018年10月期からの5期で売上高は72.8%増加しました。1年あたりに直すと増収率はおよそ11.6%となります。

出所:神戸物産 有価証券報告書(外部リンク)より著者作成

高い利益率も神戸物産の強みです。主な小売業や食品卸売業と比べると、売り上げは大きくありませんが営業利益率は高水準です。自社で製造・輸入する付加価値の高いオリジナル商品の比率が34%台と高いこと、独自の管理システムで販管費(販売費および一般管理費)の削減に取り組んできたことが奏功しているとみられます。

【主な小売業・食品卸売業の業績(2022年度)】

           売上高    営業利益   営業利益率 
 神戸物産 4615億円 307億円 6.7%
 セブン&アイHD 11兆8113億円 5065億円 4.3%
 イオン 9兆1168億円 2098億円 2.3%
 三菱食品 1兆9968億円 234億円 1.2%
 加藤産業 1兆0994億円 167億円 1.5%

※神戸物産は2023年10月期、セブン&アイHD・イオンは2023年2月期、三菱食品は2023年3月期、加藤産業は2023年9月期

出所:各社の決算短信(神戸物産(外部リンク)、セブン&アイHD(外部リンク)、イオン(外部リンク)、三菱食品(外部リンク)、加藤産業(外部リンク)、)