母親を放置する弟に、とうとう怒りが爆発
それでも母が元気で、身の回りのことが自分でできるうちは良かったのです。
母は昨秋、2階に上がろうとして階段を踏み外し、大腿骨を折ってしまいました。しかし、私が持たせていたスマートフォンは居間に置きっ放しで、助けを呼ぶ手段がなかったようです。
その日は休日で弟は例によって鉄道旅行に出掛けていたため、帰宅して母を病院に救急搬送したのは午後10時過ぎでした。深夜に弟からの電話で呼び出された私は、急きょタクシーで母の待つ病院へと向かいました。
母はすぐに手術を受け、1カ月間入院した後にリハビリ病院に移りましたが、その間、病院に通って面倒を見たのは専ら私で、弟は一度も顔を見せませんでした。母の医療費も、やむを得ず私が立て替えていました。
弟への怒りが爆発したのはその後、母を担当するケアマネジャーさんから、高齢者施設への入居を勧められたことがきっかけでした。
そもそも弟はケアマネさんの呼び出しにも一切応じず、仕方なく私が1人で話を聞きに行きました。ケアマネさんは母の経過があまり思わしくなく、恐らくこのまま寝たきりになってしまう可能性が高いこと、自宅療養は難しそうなので施設に入居した方がいいのではないかということを丁寧に説明してくれました。
母はその時点で介護保険の要介護3の認定を受けていて、特別養護老人ホームの入居資格はあったのですが、いかんせん、実家や私の自宅周辺の特養は入居の順番待ちが列をなす状態です。
ケアマネさんが何とか探し出してくれた比較的料金の安い民間ホームは、入居一時金300万円を支払えば、月額15万円程度の利用料は母の年金で何とか払っていけるのではないかということでした。ただし、医療費や介護サービスの代金は別請求です。
これは困ったことになったと思いました。
●施設の入居費用捻出のため池上さんの母親は実家売却を決意。しかし、そこで障壁となったのが、当事者意識のない弘之さんの反対でした。後編【実家売却で大金を得た弟の衝撃の使い道「あいつだけは許さない」姉が下した絶縁宣言】で詳説します。
※個人が特定されないよう事例を一部変更、再構成しています。