高齢者を狙う金融商品で失敗しないためには?

それでは早速、高齢者を狙う金融商品や金融詐欺で失敗しないために覚えておいてほしいことを申し上げましょう。

結論から申し上げると、お金の世界には「必ずもうかる話などない」ということ。なぜ、そんなおいしい話なんかない、と言い切れるのか? それは、お金の世界には、「リスクとリターンの法則」が働いているからです。言い換えれば、リターンを得るには、リスクをとらなければならないからです。

何をいまさら、そんなことは知っている、という方も多いかもしれませんね。でも、注意いただきたいのは、その逆、リスクをとれば、リターンを得られる、というのは間違い、ということです。どういうことなのでしょうか?

「いまさら…」と言わず、リスクの定義を確認してみましょう

それでは、改めてお金の世界における「リスク」の定義を確認してみましょう。まず知っていただきたいのが、金融の世界では、リスクを「(収益の)変動性」と定義していることです。簡単に言えば、リスクとは「(もうけの)ブレ幅」のことであり、このブレ幅が大きければ「ハイリスク」、ブレ幅が小さければ「ローリスク」になります。

先ほど、リスクをとれば、リターンを得られる、というのは間違いだと申しました。リスクとはブレ幅なので、上にブレることもあれば、下にブレることもある、ということ。つまり、リスクを取ったからと言って、必ずしもプラスのリターンが得られるとは限らない、ということなのです。

金融の世界では、「ノーリスク」は決して「安全」ではない

でも、「金融の世界では、リスクとはブレ幅のことなんですよ」なんて言われても、あまりピンとこないかもしれません。それは致し方ないですね。なぜなら、皆さんの普段の生活では、リスクと言えば、危険なもの、損するもの、避けるべきもの、という感覚だと思うからです。

そして、「ノーリスク」と言えば、そうしたリスクがない、つまり、安全だと感じるのではないでしょうか。気を付けてほしいのは、この「ノーリスク」の意味合いです。普段の生活では「ノーリスク=安全」です。

でも、金融の世界、お金の世界で「ノーリスク」と言えば、リスクとは(もうけの)ブレ幅のことですから、「ノーリスク」とはブレ幅がない、つまり、もうけの可能性がない、ということであり、「ノーリスクはノーリターン」、安全ではないんですね。

実は、この「ノーリスク」の意味合いの違いにつけこむのが金融詐欺だと思うのです。

「必ずもうかりますよ」「絶対損しませんよ」と働きかけてくるのです。普段の生活の感覚で、リスクは避けるべきもの、と思い込んでいると、お金の世界の話であるにもかかわらず、「必ずもうかります」とか「絶対損しません」を安全だと勘違いしてだまされてしまうのです。

ですから、改めて申し上げたいのは、リターンを得るにはリスクをとらなければならない、お金の世界では「リスクとリターンの法則」が働いていますので、「ノーリスク」は安全ではなく、ノーリターンであること※2、そして、「必ずもうかる」とか「絶対損しない」という話はお金の世界では存在しないことを心に刻み込んでおいてください。

※2 「ノーリスク」の意味合いを考えると、お金の世界の「リスク」が理解しやすくなるというのは、以前、Finaseeの記事(「マネー本ってありすぎる…」にアンサー! プロが本当に推す本9選)でもご紹介したことがある書籍(佐伯良隆著『知っておきたいホントに大事なお金の話』〈高橋書店〉)に紹介されていた話であることを申し添えておきます。