SNSでは“友人”だけど…
自分の部屋のベッドに寝転がり、SNSを開く。高校時代の同級生である若宮智子の投稿が目に入った。
『東京から地元に帰ってきています! やっぱり地元の海は最高!』
文章と一緒に自撮りの写真も添えられていた。
地元の海岸をバックに、笑顔を浮かべている智子。今の大原にとって、その笑顔はあまりにもまぶしかった。
高校時代、智子はクラスのアイドルのような存在だった。
同じクラスの男子だけではなく、学校中の男子生徒が智子を狙っていたといっても過言ではない。もちろん、その男子生徒の中には大原も含まれていた。同じクラスということで何度か話したりしたことはあったが、それ以上の関係にはならなかった。
数年前にたまたまSNSで智子のアカウントを見つけ、コンタクト申請をしたところ承認してもらった。
そのとき、智子はすでに結婚していた。そもそも自分にチャンスがあるわけがないのに、智子が既婚だということを知り、なぜかがっかりしてしまったことを覚えている。
今回の帰省には、智子の夫も一緒について来ているのだろうか。
まあ、大原にとっては関係のない話だが。
大原はよどんだため息とともにスマホを置いた。