Q.課税口座のお金はNISAに移した方がいいですか?

A. 価格上昇が見込めるなら移した方が良く、その方法は3つあります。

これからも価格上昇が見込めるなら移した方が良いでしょう。NISAは利益が出ないとメリットがない制度ですから、価格上昇が期待できないなら移すことはお勧めしません。

また、忘れてはいけないのは2019年に一般NISAで投資したお金は2023年に非課税期間が終了しますから、2024年に課税口座に移管されるということです。

一般NISAを毎年利用していたなら、今後、毎年一般NISAが満期を迎え、都度、課税口座に移管されます。新NISAに課税口座のお金を移すなら、この資金の存在も忘れずに計画をたてておいてください。

なお、課税口座のお金を新NISAにスライドさせることはできません。移すなら課税口座のお金をいったん売却して、売却した商品を新NISAで買い直す必要があります。したがって利益が出ているならいったん利益を確定させ、税金を納めることになります。

ここで、課税口座から新NISAへお金を移すにあたって、いくつか方法があるので紹介します。

①一括売却、一括購入 (成長投資枠を利用)

課税口座にある資金を一括売却し、同じ商品を同じ金額分、新NISA口座の成長投資枠で買い直す方法です。売却できる金額は、成長投資枠の年間非課税枠240万円までです。

売却注文と購入注文を同時に行うことで売却価格と購入価格を同じにでき、実質スライドが可能です。ただし、売却したお金が自分の口座に入金されるまで数日かかることが一般的ですから、その間、立て替えが発生します。

立て替えるお金がない場合は、売却したお金が入金されたら同じ商品の購入注文を出します。この場合、タイムラグが発生しますから、売却価格と購入価格を同一にすることは難しいでしょう。

立て替えるお金があるかどうか、立て替えるお金がない場合は数日間の価格差発生をリスクと考えるかチャンスと考えるかが、この方法を選択するポイントとなります。

②一括売却、積み立てで購入(つみたて投資枠、成長投資枠ともに利用可能)

課税口座の商品を一括売却して、そのお金を原資に同じ商品を積立購入する方法です。購入価格を積み立てによって平均化することで、あえて価格差を受け入れます。つみたて投資枠、成長投資枠、どちらも利用可能である点がメリットですが、一括売却後、積み立てに回らず待機している資金が一定期間運用されない状態が続くことがデメリットです。

③定期売却、積み立てで購入

口座を持っている金融機関に定期売却サービスがある場合に活用できる方法です。売却価格と購入価格を同一にすることはできないものの、毎月売却したお金で積み立てることを自動化できるため、売却価格、購入価格とも気にせず資金移動できるところがメリットです。毎月10万円を売却して10万円を積み立てるという具合です。

特に年間非課税枠を超える資金を移したい場合、先述の①と②なら数年がかりで課税口座の資金を新NISAに移動させる手続きが必要です。例えば課税口座にある500万円の資金をつみたて投資枠で積み立てするなら、毎年120万円を売却する手続きが発生するということです。さらに①なら購入も手続き必要です。

しかし、定期売却・積立購入なら非課税枠がいっぱいになるまで、あるいは課税口座の資金が尽きるまで自動売買できますから、定期的な手続きは不要です。

強いて注意点をあげるなら、課税口座に1800万円を超えるほど資金がある場合、非課税枠を使い切った段階で定期売却をストップさせないと売却され続けるという点でしょう。

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紹介した3つのうちどの方法が良いかは、資金の金額やご自身の性格などによりますから、自分に合った方法を見つけてください。課税口座の利益を確定申告することで、扶養を外れたり住民税等に影響が出たりすることがあります。この点、ご注意ください。