元本保証のない運用であることを意識する
DCにしろNISAにしろ、リスクのある運用商品(投資信託、上場株式)を活用するため、元本が保証されるものではありません。利用には、いくつかの注意点があります。
第一に、株式市場などの値段が上下動する運用商品を保有するため(※4)、常に評価益の状態にあるとは限りません。評価損が発生しても慌てないように、スタート時にご自身のリスクの考え方を把握しておくことが重要です。ご自身がどれぐらいのマイナスが発生したらストレスに感じるか、から考えましょう。
第二に、実際に評価損が生じた場合、あわててスイッチングや換金をしないようにしましょう。値段が下がった時は、積立投資であれば、たくさん買うことができている時期、ともいえます。安い値段でたくさん買えていれば、値段が上がった時のプラスも大きくなることが想定されます。
ただし、Aさん(60代)やBさん(50代)のように、ある程度資金に余裕があっても運用期間が限られている場合は、大きなリスクをとりすぎない、ということも重要です。リーマンショック時のように一挙に3割を超える値下がりが発生すると、復調するのは時間がかかることもあるからです。
第三に、投資信託を選ぶ際は、個々の投資信託の手数料をチェックしましょう。2023年11月2日時点のつみたてNISAの対象商品は257本です。そのうち、投資先を内外・海外とする「指定インデックス投信(※5)」には、信託報酬が0.1%を切っているものが26本もあります。例えば、信託報酬率0.1%は、運用資産100万円の手数料が年間約1000円ということです。なお、DCもNISAも投資信託の「販売手数料」がかからないことが一般的です。
第四の注意点は、NISAでは損益通算ができないことです。ある年にA社の株式をマイナス100万円で売却し、B社の株式をプラス100万円で売却した場合、一般の証券口座では損益通算されて利益がゼロになりますが、A社の株式をNISA口座で、B社の株式を一般口座で保有していた場合は損益通算ができないため、B社の100万円の運用益に20.315%課税されてしまうということになります。
(※4)DCでは投資信託のほか、定期預金などの元本確保型商品が運用商品にラインアップされている場合もある。
(※5)金融庁の基準を満たすインデックス投資信託のこと。運用期間が5年以上経過し、純資産額が50億円以上で、運用期間中の3分の2の期間で資金流入しているものが該当。
積立投資はタイミングを考える必要がない
積立投資は、購入するタイミングを考える必要がない、という点で便利です。積立投資でない場合、いつ買えばいいのか、今は高いのではないか、と考えているうちにタイミングを逃すことにもなりかねません。
株価などの値段が上がるか下がるかを当てることは誰にもできません。購入時期を積立投資によって分散することで、タイミングを考える必要がなくなります。また、値段が下がったときほど「安く買える」と思うことができる心理的効果もあります。
使い勝手が格段によくなる新NISAをきっかけにして、2024年は投資家デビューをしてみましょう。
金融庁NISA特設ページ https://www.fsa.go.jp/index.html(シミュレーション機能あり)
日本証券業協会NISA特集 https://www.jsda.or.jp/nisa/(コールセンターあり)